損害賠償

食品製造業のPL保険では補償できない!?リコール保険の重要性と選び方

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食品製造業の賠償リスクとしてまず最初に想像するのがPL保険になりますが、昨今の異物混入の事故が多発しており、その回収費用等の損害をカバーできるのは、PL保険ではなくリコール保険(生産物品質保険)において補償されるのはご存知ですか?

万が一製造した食品(生産物)に異物が混入していたらと考えると回収費用は非常に高額になることは想定できます。ですからリコール保険(生産物品質保険)は、絶対に必要な保険なのです。

リコール保険は異物混入等が発覚した場合に回収費用だけではなく、その他に社告費用、廃棄費用や再製造費用などあらゆる損失の補償してくれる保険です。
今回は、リコール保険から得られる効果や補償内容についてお伝えします。
この記事を読めば、リコール保険の重要性や保険商品の選び方が必ず理解できます。

1.リコール保険とPL保険は別物

「PL保険に加入しているから十分じゃないの?」という食品製造業の方が多く見受けられます。

これは、誤解です。

PL保険とは、販売した食品(生産物)が原因となり、他人に損害を与えた場合に被害者に対しての治療費や慰謝料の損害賠償金の支払いと、その支払いを求めて裁判になった場合の裁判費用・弁護士費用を補償します。
わかりやすく言うと食中毒や異物混入により、食べた人の身体の状況を悪くさせてしまった場合に治療費用や慰謝料をPL保険で支払います。

これであなたの会社は製造者として、対応は十分でしょうか?
他にすることはありませんか?

そうです。
こうした事故が発生した場合、これ以上被害を拡大しないためにその食品と同時期に製造した食品(生産物)を回収する必要がありますよね。

その回収費用や社告費用などの損失をカバーする保険がリコール保険です。
また、異物混入など食中毒にならなくてもリコール保険は損失を補償してくれます。
PL保険において回収費用は特別な補償でない限り、原則的に支払いの対象にはなりません。

*一般的には、リコール保険と言われていますが、正式名称は、生産物品質保険と言います。

リコール保険とPL保険の補償の違いを下のグラフにて確認してください。

2.リコール保険に必ず加入しなければならない理由

異物混入や食中毒の事故などが発生した時に、最初にやらなければならないのはその時期に製造された全ての商品の回収と廃棄です。

全国に発送している食品を回収しなければなりませんので、回収費用、廃棄費用だけでも高額になりますよね。
それと同時に今後の被害者への対応や、マスコミをはじめ社会全体への対応も必要となります。
会社の信頼回復のため広告宣伝活動が必要となります。
世の中を騒がせたことへの謝罪として被害者だけではなく社会全体への対応を行うことになりますが、その上で、第三者の専門知識のあるコンサルティング会社が必要になってきます。

コンサルティング会社を入れることにより、会見での謝罪の仕方はもちろん社長の言葉も選んでくれます。
また新聞への社告は?
もちろん社告費用だけでも高額になり、全国紙の1紙10cm×2段で300万円以上の費用になります。

参考 : おわびナビ.com    全国紙のお詫び広告(謹告)掲載料金を比較する

どのような社告を出せばいのか?全国紙や地方紙まで社告をどこまで出せばいいのか?
コンサルティング会社にあらゆる対応を任せることができるのです。

社告に限らずリコール保険では様々な費用が支払われます。次章で詳細を説明していきましょう。

3.リコール保険で支払われる損害や費用とは?

回収等によって被った損害や支払った費用に対して、リコール保険では何が補償されるのかご確認下さい。

3-1.回収費用として支払った費用を補償する

・ 回収した食品(生産物)や代替品の輸送費用
・ 回収した食品(生産物)の再製造費用や代替品費用
・ 回収した食品(生産物)の廃棄費用
・ 回収した食品(生産物)生産物の一時的に保管をするために借りた倉庫の賃借費用
・ 出張費、宿泊費、臨時雇用費用 等

3-2.対応や対策を行うために、第三者の調査機関や広告戦略・危機管理に関する専門知識をもつ者からのコンサルティング費用

事故にかかる確認や調査費用、回収等や広告宣伝活動等の方法の策定費用などが補償されます。

3-3.事故によって失った生産物の信頼度を回復させるための費用

広告宣伝活動に支払った費用を補償され、安全対策や品質管理改善を施した安全宣言などの費用が補償されます。
新聞、雑誌、テレビ、ラジオ等の社告費用やマスコミ対応費用や電話、ファックス、郵便等による通信費用等がこれにあたります。

3-4.事故発生前の生産活動状態へ復旧するための費用

施設や設備などの清掃や消毒費用、残業代・アルバイト料などの人件費で生産活動維持に支払った費用を補償されます。

4-4.事故による影響で被る営業利益の減少分を補償

喪失利益として利益の減少分を補償されますが、売上げの減少分でなく営業利益の減少分を補償されます。

駆け足でリコール保険の補償内容を説明しました。
では、次章で実際の事故例と具体的な損害額をみていきましょう。
異物混入などの事故を起こしてしまった場合、どのくらいの費用がかかるのかイメージしやすくなるでしょう。

4.リコール保険における事故例

実際に起きた事故をもとにリコール保険でどのように補償されるのか見ていきましょう。

事故例1
海外より輸入した海産物の表面を洗うために使用した金属ブラシの破片が付着しており、過去1年間前からその状況が続いていたことが判明したため、海産物を原材料とする食品を回収した。
回収費用 約1600万円
再製造費用原価 約2000万円
社告費用 約800万円
廃棄費用 約100万円
出張費用 約200万円
超過勤務費用 約400万円
合計損害額 約5100万円
事故例2
醤油味の食品に、別の激辛食品用の一味唐辛子が大量に表面塗布されていることが、消費者からの苦情で発覚した。原因は従業員のミスと判明。当該食品は食べても健康被害はないが、対象ロット4万袋を回収した。
回収費用 約800万円
再製造費用原価 約550万円
社告費用 約1200万円
廃棄費用・輸送費用 約100万円
通信費 約10万円
合計損害額 約2660万円

上記の損害額はPL保険では支払いの対象となりませんが、リコール保険では保険の対象となるのです。
昨今、世間では異物混入などの事故が多発しております。
わざと事故を起こす会社はありませんが、絶対に事故は起きないということはないので、食品製造業の会社は、必ず加入しなければならない保険となっています。

またこの他にもリコールの回収情報が下記のサイトでも数多くの報告がありますので参考にしてください。

食品衛生法に違反する食品の回収情報 厚生労働省

続いてどのような事故が対象となるのか解説します。

5.リコール保険の補償の対象となる事故とは?

5-1.第三者による異物混入事故

リコール保険は第三者の悪意ある行為により、製造した食品(生産物)に異物混入や異物混入脅迫が行われ回収した場合に補償されます。


会社に対し不満を持った従業員が、製造ラインにおいて製品の中に下剤を混入させていた。販売している食品(生産物)に毒物を混入したと脅迫電話があった。

※ 保険会社によっては従業員が第三者に当たらない場合がありますので、詳細は各保険会社に確認が必要です。

5-2.安全が損なわれる偶然な汚染事故

摂取してから、7日間以内に健康被害がある場合や、確実に健康被害が生じる恐れがある場合に補償します。


製造行程中に、レシピにない添加物をうっかり入れてしまい健康被害が発生してしまった。販売した食品に黄色ブドウ球菌が見つかり、このままだと食中毒になりそうだ。

5-3.瑕疵ある偶然な汚染事故

摂取してから7日間以内に健康被害は生じないが、偶然の汚染が生じた場合に補償します。

例 工場のライン行程中に輪ゴムが誤って食品に紛れ込んでしまった。

※ 瑕疵とは、何らかの欠陥のことを言います。
※ 偶然の汚染事故とは、生産物の製品や食品となる過程や輸送中において偶発的に発生したことを言います。

偶然な汚染とは・・・

異物混入
成分などに関する誤表示
成分など以外の事項に関する誤表示
包装・梱包の記載と内容物の相違
本来の用途、機能などの不足
ポジティブリスト違反
食中毒菌の混入

ここまで読んでお気付きの方もいらっしゃるでしょう。
リコール保険は食中毒や異物混入だけではなく、その生産物に起こりえるさまざまな事故を偶然な汚染として補償します。

リコール保険は非常に幅広い補償内容で柔軟性がある保険だとあるということがわかりますよね。

また、保険会社によっては、その生産物に事故が発生していなくても補償する保険商品もあります。
日本では禁止されている添加物が使用されていたことが判明し、行政機関による回収指示があったものの、実際にはその生産物には事故はないが、回収が避けられない場合にも回収費用等が補償される保険商品もあります。

6.加入を検討する時や保険の見直し時に確認すること。リコール保険の選び方

リコール保険(生産物品質保険)は、各保険会社より販売されていますが補償範囲、限度額などの補償内容が保険会社によって全く異なります。
そこで、加入を検討する時や保険の見直しの際に気をつけて頂きたいチェックポイントを下記にまとめてみました。全ての条件を満たす保険商品をお勧めします。

□異物混入は、従業員の場合も補償されること

□出荷前の事故も補償されること

□健康被害のない事故も補償されること

□再製造費用・廃棄費用まで補償されていること

□コンサルティング費用は、保険事故でないことが判明した場合でも、その時点まで補償されていること

□成分誤表示に関する補償では、7大アレルゲンに限定せず補償されていること

□事故発生時に危機管理コンサルティングを紹介してくれていること

まとめ

PL保険とリコール保険の補償内容が全く異なることをご理解頂けたかと思います。
もちろんPL保険は第一に考える賠償リスクですが、それと同等、またはそれ以上に食品製造業にとってリコール保険は大切です。
リコール保険は各保険会社によって補償内容や補償範囲が異なります。
リコール保険を選ぶ際に6章のチェックポイントを参考にして加入、継続の際に役立てて下さい。

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