
あなたの会社では、介護ハラスメントで起きたトラブルへの備えは万全にしていますか?
厚生労働省が10,000の施設・事業所を対象とした調査を行った結果、サービスの種類により違いはあるものの、40%〜70%が利用者からハラスメントを受けたことがある、と回答しており業界全体の大きな問題となっています。
さらに、ハラスメントを受けたことにより、『仕事を辞めたい』と思ったことのある職員が20%〜40%と、介護業を営む方々にとっては非常に耳の痛い話であり、ただでさえ人手不足が問題になっている介護業にとっては目をそらすことのできない課題のひとつとして挙げられます。
そして、この介護ハラスメントの裏には【会社と従業員間のトラブル】が隠れているのです。そのトラブルに対する備えの有無によって会社が右肩上がりに成長し続けていけるかどうか、にも大きく関係していきます。
この記事では、介護業がこの大きな課題をクリアするための保険を解説していきます。会社の成長を妨げられずにトラブルを解決する内容をお伝えしますので、ぜひお読みください。
1.介護ハラスメントが会社にもたらす3つのマイナス要素
ひとたび介護ハラスメントが起きると、その火種はどんどん大きくなり、いずれ大きなトラブルとして会社にふりかかることが予想されます。
『うちに限っては大丈夫!』とお考えの方もいらっしゃるかと思いますが、冒頭でお伝えをした通り少なくとも40%の介護職員さんは『ハラスメントを受けたことがある』と回答をしています。そのため、介護ハラスメントは起きる!と断言してしまっても過言ではないかと思います。
そして介護ハラスメントは会社に様々なマイナス要素を与えてしまうのです。
それは、
-
従業員が不満を感じ、業務効率や仕事のクオリティが低下する
-
人手不足が加速する
-
最悪の場合、従業員から訴えられる
この3つです。
では、順番に解説をしていきます。
1-1.従業員が不満を感じ、業務効率や仕事のクオリティが低下する
まず、介護ハラスメントが起きたときに最優先で対応をしなければいけないのは、従業員のケアだと考えられます。
しかしながら、厚生労働省が行った介護ハラスメントの実態調査によると、しっかりと対策ができている事業所は決して多くないことが下記の抜粋部分からわかります。
「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究事業」実態調査 より抜粋
職員のモチベーションが低下し、新たな事故を生むきっかけとなる
ここで、相談する職員さんの感情を想像すると
『上司や会社に相談をしたところで何も解決しないのであれば意味が無い』
『いつまでも現場でのハラスメントが無くならず、仕事に対してのモチベーションも失う…。』
普段では出来ていたことができなくなり、仕事の効率が落ちる、モチベーションの低下に伴い、仕事の質が落ちてしまう。そのことにより、介護事故や労災事故が起きるなど新しいリスクを生み出すキッカケになってしまう。ということも十分考えられます。
相談を受ける側にも不満が生じる
大きな影響を受けるのは現場で働く職員だけではありません。
前述の通り、ハラスメントへの対策が十分にできていなければ、相談を受ける側の管理職や担当者も正解がわからないまま対応をしなくてはなりません。そのため、結果的に相談を受ける側にもストレスや負荷が掛かり、仕事のパフォーマンスが落ちてしまう可能性があることは否めません。
相談を受ける側の人はきっとこんなことを考えるのでは無いでしょうか?
- 会社からハラスメント対策の研修もろくに受けていないし、職員から相談を受けたところで何も出来ない…
- 来る日も来る日も現場からのグチばかり聞いている
- 通常業務をこなすことでさえ人手不足で大変なのに仕事にならない
- ハラスメントの対策を考えているこちらが鬱になりそうだ
ひとえに現場の職員だけが苦労する、ということではなく会社全体が負の連鎖に巻き込まれていくことが予想されます。
相談をしてもハラスメントは無くならないという悲劇
さらに、調査の結果からハラスメントについて相談をしても状況は変わらなかった、というなんとも悲惨な回答が多いこともわかります。
この資料にある通り、相談をしても40%〜60%は『状況は変わらず』ということになっています。
つまり、【介護ハラスメントを失くす・減らす】ということが課題ではなく、【介護ハラスメントとどう付き合っていくのか】ということが課題だと言えます。
1-2.人手不足が加速する
2つ目のリスクは人手不足が加速するということです。
先程よりお伝えをしている通り、介護ハラスメントに関わってしまった人は現場であろうと、管理をする側であろうと【会社への不満足】や【会社への不信感】を抱いてしまいます。
実態調査によると、ハラスメントを受けた人の20%〜40%は仕事を辞めたい、と思ったことがある、という回答をしています。
ただでさえ人手不足が問題となっている介護業界ですので、人材は何としてでも確保しておきたいところですがハラスメントによる離職は事実として存在します。
ハラスメントに遭っていた人がやめる→新たにハラスメントのターゲットになる人が出てしまう→
の堂々巡りにハマってしまうこともあり得ます。
1-3.最悪の場合、従業員から訴えられる
ここまでお読みの方は、介護ハラスメントは従業員に対して大きな不満足を与えてしまうことがお分かりかと思います。そして膨らみ続けた大きな不満はいずれ大きな爆発を起こします。それは『従業員からの訴え』です。
下記の図は、介護ハラスメントの発生から訴えが起こるまでの流れを表したものです。
ここまで解説をしてきたことを整理すると、
- 介護ハラスメントは高い確率で起きる
- 事業所・会社は有効な対策をもっていない
- 従業員(ハラスメントの被害者)は不満な気持ちが高まっていく
となり、この要素が揃うことによって会社が訴えられる、という最悪の事態が起こってしまうのです。
また、大変残念なことではありますが、googleなどの検索サイトで下記のようにキーワードをいれて検索するだけで会社を訴えるための手順、などが簡単に調べられることもあり、社会全体で【会社が訴えられやすい】流れになっているのです。
検索では訴訟のやり方が上位にヒットする
こうなってしまうと、
訴えてきた従業員に対してどう対応するのか?
そもそも損害賠償金を払う必要があるのか?
いくら払わなくてはいけないのか?
弁護士は?裁判になるのか?
と会社が抱える悩みが次々と出てきますよね。
その様な悩みを解決するために必要なのが、【雇用慣行賠償責任保険】という保険です。どの様な保険でなぜ保険が必要なのか、解説を続けていきます。
2.保険は無くならない介護ハラスメント対策の1つ
ここまでの解説で介護ハラスメントは多くの現場で起きており、会社に様々な悪影響をもたらすことがお分かりかと思います。
『介護ハラスメントが無くなれば…』とどの事業者の方もお考えのはずですが、実際にハラスメントを無くす ということは非常に難しいのではないでしょうか。
つまり、介護事業者はハラスメントという課題に対して、必ず起こる前提 で対策をする必要があります。今から解説をする保険がその手段の1つです。
2-1.介護事業者が必ず入るべき保険
今後の社会でも介護ハラスメントが無くならない、と考えると介護ハラスメントにまつわる訴訟もますます多くなることが予想されます。
そして、介護ハラスメントで会社が訴えられたときに会社を守るために入るべき保険が【雇用慣行賠償責任保険】です。
この保険のメリットは大きくわけて3つあります。
-
会社や個人が訴えられたとき、示談金・和解金・弁護士にかかる費用などをまかなうことができる。
-
労務に強い弁護士の紹介を受けることができる。
- 保険会社・代理店が介入することで早期解決に繋がる。
例えば、2つめのメリットを例に挙げると、
会社に顧問弁護士はいるけど得意分野は自動車事故だった
なんてこともあり得ます。餅は餅屋、という言葉があるように労務関係に強い弁護士に依頼することで、早期解決への期待も高まります。
また、下記の図は訴訟が起きたとき、保険に入っている場合と入っていない場合にどうなるかを比べた図です。
当然のことですが、保険に加入をしていなければ、自ら解決までの糸口を探して対応をしなければいけません。その様な状況では本業に使う時間がなくなり、事業自体の継続も危ぶまれます。
繰り返しお伝えをしていますが、介護ハラスメントは高い確率であなたの会社を襲ってきます。その時に備え、会社を守り、安心して事業を続けていくためにもこの保険に入っておく必要は十二分にある、と考えられます。
この保険の詳しい仕組みや入り方のポイントなどはこちらの記事で解説をしているため、あわせてお読みください。
まとめ
介護ハラスメントの実態、そして会社を守るための保険を解説してきました。
恐らく介護ハラスメント自体は長らく業界にはびこっていた悪だと思いますが、大きな問題として取り上げられることが多くなってきたのはここ数年のことです。これは、日本全体で働く人の視点を重要視するようになったことがひとつの要因です。
どの業界であっても人を雇うこと自体がリスクであり、人を雇って事業をする限り、そのリスクを保有し続けなければいけなというジレンマもあります。
つまり、重要なことは【保有しなければいけないリスクへの解決策】であり、ここで解説した保険が正にその解決策にあたるのではないでしょうか。