損害賠償

加入は必須!パワハラで会社が訴えられたときに役立つ保険

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あなたの会社は、パワハラやセクハラで訴えられたときの対策を導入していますか?

ひとたび訴えが起こると、損害賠償金、弁護士の費用、情報の収集など、日々訴訟の対応に追われることになります。
当然、その間も通常の仕事はしなければならない…考えるだけで頭が痛くなりますよね。

さらに、インターネットの普及により、『会社を訴える方法』『勝訴するためのマニュアル』など、会社にとってゾッとするような情報を、働く人はいとも簡単に入手することができます。また、個人で加入できる労働組合(ユニオン)も日々、精力的に活動をしています。

つまり、労働者を守る法律の整備や、世の中全体の風向きが『労働者寄り』である現代においては、人を雇うことでさえリスクになり得るのです。

この記事ではそのようなリスクに備え、会社が加入をしておくべき保険をご紹介します。
会社で人事や労務を担当されている方、経営者の方はぜひお読みください。

1.ズバリ、パワハラ・セクハラの訴えに対応できる保険がある

記事の冒頭でお伝えした通り、従業員は様々な手段を使い情報を集め、簡単に会社を訴えてきます。
実は、その様な万が一の事態に備え、示談金・和解金・弁護士費用などをまかなえる保険があるのです。一般的には、【雇用慣行賠償責任保険】という商品や、【労災上乗せ保険の特約】として、損害保険各社から販売されています。

また、時代背景も相まってこのような保険に加入する企業は非常に多くなっています。
では、実際に会社は人を雇うことでどんなリスクがあり、なぜ保険に加入する必要があるのかを解説していきます。

2.人を雇うことでさえリスクになる現代

2-1.たったひとつの小さなトラブルが大事になる

下記図の様にひとたび何かしらのトラブルが発生すると、様々な問題に派生し絡み合うことで、【雇用に関するトラブル】となり会社に重くのしかかります。

うつ病や、過労など、ひとつの小さなトラブルとして捉えてしまうことが往々にしてありますが、小さな火種でも放っておくと大火事になってしまい、気付いたときには手遅れに…なんてことも考えられます。

※ハラスメントから様々な事に派生する例

  • 労働者は簡単に企業と争うことができる

労働者を保護するための法律の整備もあり、働く人が会社を相手取り争う方法は上記の通り様々です。
雇用に関する相談は年々増加し、労働者が強い力を持つ時代になっています。

そのため、実際に訴えが起こってしまうと企業は弱い立場になり、損害賠償金や訴訟に関わる費用の出費など、経済的な負担を強いられるリスクがあります。

ここで気になるのが「訴訟になると、どれだけお金が掛かるのか!?」ということですよね。
では実際の事例を見てみましょう。

2-2.パワハラ・セクハラの事例

  • 職場からの隔離、自宅研修を命じたとして、慰謝料600万円の支払命令(東京高判 平成5年11月12日)

○学校法人が営む高校の教諭が、それまで担当していた学科の授業、クラス担任等の仕事を外された。
○そのうえ、何の仕事も与えられないまま4年半にわたり別室に隔離され、さらに7年近く自宅研修を命じられた。
○このような差別的な行いが不法行為であるとし、慰謝料の支払いを請求した。
○判決では請求の一部が認められ、裁判所は学校法人に600万円の慰謝料を支払うよう、命じた。

600万円という慰謝料に加え、弁護士の手配やその他の調査に関わる費用など、学校法人は多額の負担を強いられたことが考えられます。

判例を見ていくと、どうしても【慰謝料】の金額に目を当てがちですが、その裏には裁判に関わる費用など、【慰謝料以外】に掛かるお金があることを忘れてはいけません。

  • 広告代理店会長が女性従業員に執拗なセクハラを行い、148万円の支払命令(東京地裁 平成8年12月25日)

○被害女性が役員室に行くたび、会長が食事に誘う、「温泉に行こう」などのきわどい発言をしていた。
○女性が病気で入院した際に見舞いに行き、キスをしたりパジャマの下に手をいれて身体を触ったりした。
○女性が退院してからも強引にドライブに連れて行き、ホテルへ誘うなどした。
○その結果、女性従業員は会社を退職した。
○会長という地位を利用し、社会的許容範囲を超えたとして、148万5千円の支払を命じた。

  • 不動産会社 営業成績が悪いと腹筋数百回、元従業員9人から約3,600万円の損害賠償請求

○社長が営業成績に応じて、始業前に腹筋をやれという指示をだした。
○1週間アポがなかったら毎日100回、2週間なら200回、1,000回を超える人もいて、朝6時からやっていた。
○社内には複数のカメラがあり、社長が携帯から監視をし、ペースが遅いと電話をかけて罵声を浴びせた。
○客との電話中に回し蹴りをされたりするなど、暴力・暴言が日常的に行われていた。
○その結果、元従業員9人が会社と経営者に対し、約3,600万円の損害賠償を求めた。

~大なり小なり間違いなく資金を失い、労力を要する。そこを保険でカバーする~

ここで紹介をしたもの以外にも様々な事例があります。
当然のことながら、慰謝料の金額が小さくても大きくても、お金が出て行くことは変わらない事実です。
そして、裁判にならずとも従業員の要求を突っぱね、争うために弁護士を立ててもお金が掛かります。
さらに、会社の規模によっては現場レベルの小さな問題を把握しきれず、急に発生する雇用トラブルへの対応が後手になることも考えられます。

前述のような経済的な損失をカバーするため、問題が発生したときに弁護士の手配などを迅速に対応するため、様々な目的をもってパワハラ・セクハラに対応した保険に加入する企業が多くなっているのです。
ここから先は、保険に加入する前に抑えておくべきポイントを解説していきます。

3.保険に加入する前に知っておくべき3つのポイント

3-1. 会社と個人が補償され、高額な賠償請求に耐えられる補償額を用意する

保険会社によって特色は様々ですが、一般的には以下のような項目が補償の対象となります。

従業員から職場でセクハラ・パワハラを理由に損害賠償を請求された際の示談金/和解金・訴訟費用(弁護士費用など)

ここで重要なのが、誰が補償の対象になり、いくらの補償 に入るべきなのか?です。

結論から申し上げますと、

会社・個人が補償の対象になり、1億円まで補償される保険 の加入をおすすめします。

従業員から訴えが起こったとき、矢面に立つのは【会社】や【役員】ですが、最近では支店長、部長、課長、役職の付かない一個人でさえ、訴えられるケースも多くあるため、必ず【個人】も対象になる保険に加入しましょう。

必要な補償額については1億円も必要なのか?とお考えになるかもしれません。
2章の事例を見るとお分かりになる通り、訴訟の金額は大小様々です。

しかしながら、辞めた従業員から集団で訴訟されたり、裁判が長期化したりすると、負担をする費用は大きくなるため、少しでも高額な補償に加入することをおすすめします。

補足:1億円の補償でも5,000万円の補償でも保険料に大きく差がでることはありません。
(補償額が倍になったとしても、保険料が倍になるわけではない)

 3-2.保険料は業種・売上高・質問書で決まる

保険会社によって様々ですが、ほとんどの場合、業種と売上高・保険会社が定める質問書への回答内容で保険料が計算されます。

また、保険会社が定める質問書への回答次第では割引が適用されることもあります。
そのため、質問書に回答をするときは、しっかりと社内の現状を確認したうえで、割引を適用させましょう。

例えば、

  • 就業規則を労基署に提出しているか
  • 弁護士や社労士との顧問契約があるか
  • 過去に従業員から訴えられたことが無いか

など、会社がおかれている環境・現状を把握するための質問です。

さらに大きく割引を適用する場合や、会社の規模(売上高)が一定の基準を上回っている場合、過去に従業員からの訴えがあったときは、より細分化された項目がある質問書への回答が必要となります。

例えば、

  • ハラスメント防止マニュアルを配布しているか
  • 過去に大幅なリストラを実施したことがあるか
  • 現金、小切手、預金口座などは複数の管理責任者によって管理されているか

などがあります。

3-3.保険会社・代理店の選び方

パワハラ・セクハラに対応する保険は、様々な保険会社から販売されておりますが、それぞれ特色や、得意とする分野は異なります。
大まかな補償内容が変わる、というわけではありませんが、実際に保険を使うときの対応力は差がでる点のひとつと言えます。

例えば、労務に強い弁護士と提携している、事故が起きた際のアドバイスを的確に行える、など本当に困ったときに頼れる存在が必要不可欠です。

そして保険代理店にも同じことが言えます。
自動車保険が得意なのか、火災保険が得意なのか…。
サッカーや野球などのチームスポーツと同じように、代理店においても、役割・得意分野はそれぞれあるかと思います。
特に、セクハラ・パワハラに対応する保険は比較的新しい商品であるため、内容をしっかりと理解をしている保険代理店を見つけることが重要です。

まとめ

現代のトレンドと言っても過言ではない、セクハラ・パワハラに対応できる保険について解説をしてきました。
日々新しいハラスメント(造語も含め)が騒がれ、ほんの小さな出来事でさえ会社のリスクになり得る今日において、保険に加入をしておくことは、あなたの会社を守るために必要なことだと考えられます。
「うちに限ってそんなことないよ」という思い込み、信じ込みは非常に危険ですので、この記事をきっかけに、改めて雇用リスクについてお考え頂けたら、と思います。

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