パートアルバイトの方たちは、正社員より待遇が悪いと勘違いされている方が多くいますよね?
しかし、実はパートアルバイトと正社員との関係は全く同じで、労働基準法や労災保険法なども基本的に適用されるのです。
多くのパートアルバイトの方たちは、会社との労働条件をしっかりと取り決めてもらえず、休憩や有給を与えられなかったり、残業手当を支払ってもらえなかったりと、不満を抱え働いています。
そこで今回は、しっかりと雇用のルールを守る会社を選ベるようになるための労働基準法の知識をはじめ、またそのような状況で働いている方々には対策法を書きましたので、ぜひ参考にして下さい。
1.労働基準法の理解を深める5つのポイント
労働基準法とは、正社員、パートアルバイトに関わらず全ての労働者に適用されるもので、色々と雇用する上で様々なルールがあります。
労働時間、休憩時間や有給休暇、残業手当や深夜手当など労働基準法によりパートアルバイトの方々にも対して法律で定められています。
以下、主に重要な5つのポイントをまとめています。
またその後に、具体的な対策を書いていますので、ご確認下さい。
ポイント1.労働時間は労働基準法で決められている
労働基準法において1週間の労働時間は40時間と決められており、1日の労働時間は8時間と決まっています。
一般的に週40時間を超える労働を法定時間外労働といい、これが残業と言われています。
この残業(時間外労働)や休日労働(出勤)をさせようとする場合は、36協定(労使協定)が労働基準監督署に提出されています。
その届け出がされていれば、残業や休日出勤することがあっても、労働基準法違反になりません。
関連記事 → 36(サブロク)協定とは何か?知っておきたい基礎知識
ポイント2.労働基準法で休憩時間は決められている
休憩時間は条件により休憩を与えられることになっています。
6時間を超える場合 | 少なくても45分の休憩 |
---|---|
8時間を超える場合 | 少なくても60分の休憩 |
例えば、7時間労働すると少なくても45分の休憩時間が決められています。
逆に5時間労働だと休憩時間がないということになり違法ではありませんが、しかし、その働く会社によっては、休憩をもらうこともできますので、確認してみることも良いでしょう。
休憩時間とは、その労働者がその仕事から一切関わらないことが保障された時間のことを言います。
例えば、昼休みに電話対応や来客対応をすることがあるとしたら、労働時間になってしまうので、その場合は、別に休憩時間をもらう権利があります。
ポイント3.休日出勤は、割増賃金35%多く支払われる
休日については週1回の休日、または4週間で4日以上与えられることになっています。
これを法定休日といいます。これは働く方に対して健康障害を守るために確保しているものです。
法定休日に出勤した場合は、短時間でも通常時給の他に休日割増賃金35%上乗せをしてもらうことができます。
通常時給1,000円の場合は、法定外時給は1,350円となります。
種類 | 支払条件 | 割増率 |
---|---|---|
休日(休日手当) | 法定休日(週1回)に労働した場合 | 35%以上 |
ポイント4.残業手当、深夜手当の割増賃金率は決まっている
種類 | 支払条件 | 割増率 |
---|---|---|
時間外(時間外手当・残業手当) | 1日8時間・週40時間労働を超えたとき | 25%以上 |
深夜(深夜手当) | 22時から5時までの間に労働した場合 | 25%以上 |
例) 労働時間午前9時から午後6時まで(休憩1時間で、実質労働時間8時間)
時給1,000円のパートアルバイトの方が午後12時まで働いた場合の給料の計算
9:00〜18:00→時給1,000円×1.00×8時間=8,000円 法定内
18:00〜22:00→時給1,000円×1.25×4時間=5,000円 法定外残業
22:00〜23:00→時給1,000円×1.50×2時間=3,000円 法定外残業+深夜
よって、このパートアルバイトの方は、1日の給料合計額は14,500円となります。
ポイント5.パートアルバイトも正社員同様有給休暇がもらうことができる
仕事を初めて半年働くと労働時間によって有給休暇の日数が与えられます。
週所定 労働時間 |
週所定 労働日数 |
1年間の 所定労働日数 |
勤続期間 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
6ヶ月 | 1年6ヶ月 | 2年6ヶ月 | 3年6ヶ月 | 4年6ヶ月 | 5年6ヶ月 | 6年6ヶ月以上 | |||
30時間 以上 |
– | – | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
30時間 未満 |
5日 以上 |
217日 以上 |
|||||||
4日 | 169日 〜216日 |
7日 | 8日 | 9日 | 10日 | 12日 | 13日 | 15日 | |
3日 | 121日 〜168日 |
5日 | 6日 | 8日 | 9日 | 10日 | 11日 | ||
2日 | 73日 〜120日 |
3日 | 4日 | 5日 | 6日 | 7日 | |||
1日 | 48〜72日 | 1日 | 2日 | 3日 |
この表から見ると、週30時間以上でほぼフルタイムで働いている方であれば、6ヶ月(半年)で10日の有給休暇が与えられることになります。またそれから1年経過(勤続年数1年6ヵ月後)すると11日の有給休暇が与えられます。これは労働基準法で労働者の権利として決められています。
ただし、有給休暇が発生してから2年で消滅されてしまいます ので、注意してください。
なかなか会社に言いづらいとは思いますが、せっかくのパートアルバイトの権利になるので、有給休暇が取れるのに「取れなかった」では済まさないよう勤務先に伝え、計画的に有給休暇を取るようにして下さい。
このように労働基準法で、雇用のルールが定められています。
それでは、このような優遇で雇用されていない場合は、どう対応すべきかの対策をご確認下さい。
2.ブラックバイト勤務は過酷!弱い立場のパートアルバイトはどう対処する?4つのステップ
ステップ1.職場の上司や店長に改善を求める
会社は労働基準法という言葉を知ってはいるものの、その労働基準法を理解していない会社が多い。
「昔は、残業ばっかりで大変だったよ」という上司も、元々、労働基準法に守られていなかった事実があるからです。
なかなか、この不満を上司などに言いづらいかもしれません。しかし、あなたが過重労働に悩まされ、倒れてしまっては、元も子もありません。会社にとっても不利益なのです。勇気を持って伝えましょう。
ステップ2.何も問題はない!思い切って今の職場を辞める!
会社にブラックバイトの改善がないようであれば、そこの会社を辞めることを考えましょう。
労働基準法第15条
使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。
明示された労働条件が事実と相違している場合、労働者は即時に労働契約を解除することができる。
要は、会社は雇用するときに、パートアルバイトに対して、賃金、労働時間などの労働条件をしっかり示さなければなりませんが、この労働条件が守られてなく過重労働されられているのであれば、すぐに会社を辞めることができます。
例)長時間労働やサービス残業、有給休暇が取れない、残業手当・深夜手当・深夜手当の不支給など
また、一般的には、退職する場合は2週間前に届け出が必要になりますが、理由を問わず退職することが認められています。
ステップ3.労働基準監督署やユニオン(労働組合)に相談する
労働基準監督署とは、労働基準法などに関する公的機関です。本来は自分で会社と交渉を行う必要がありますが、聞き入れてくれないこともありますよね?そのような場合には、労働基準監督署に今の労働条件などを伝えると働いている会社へ改善の指導してくれますので相談してみましょう。
また、ユニオン(労働組合)という個人で加入できる労働組合があります。
この労働組合は、「労働条件が厳しくなった!」、「残業代が支払われない!」などのトラブルを解決してくれる団体になります。労働組合法は労働組合に権利があり、正当な理由がない限りその会社は団体交渉を拒否することができず、誠実に対応しなくてはなりません。
まさしくブラックバイトで困っている専門の労働組合で、ブラックユニオンという労働組合もありますので相談してみることも考えてはいかがでしょうか?
関連記事 → ブラック企業で働くあなたの強い味方になる相談窓口のまとめ
ステップ4.未払い賃金や慰謝料を求めて裁判にする
ここまで、段階を踏んでも拘束されるのであれば、法的に戦うこと以外にありません。
労務トラブルなどの労働問題に強い弁護士を探し、今まで貰えるはずの未払い賃金や慰謝料を求める裁判に持ち込むことをお勧めします。過去にも飲食業などにおいて、裁判を起こしてパートアルバイトが勝訴している例も出てきています。
まとめ
このようにパートアルバイトの方々も正社員同様に優遇を与えられるよう労働基準法で定められています。
これから新しい職場を選ぶ方や今の職場で辛い思いをしている方が職場環境を変えたいと思っている人に記事を書きました。その会社で働く上で、下記のことを会社と書面にて確認してから働けば、労務トラブルがあってもすぐに対処できますね。