損害賠償

自動車保険の対人・対物賠償に無制限の補償が欠かせない本当の理由

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あなたは加入している自動車保険の対人・対物賠償の補償を無制限に設定していますか?ひょっとすると、無制限の補償って不要じゃないかな?補償を低くすれば保険料を節約できるかも、とお考えかもしれません。確かに無制限、と耳にすると保険料が多く掛かりそうなイメージを持ってしまいますよね。

しかしながら、この補償が無制限でない場合、万が一事故が起きた時にとてつもなく大きな問題に発展する可能性があるのです。この記事ではなぜ保険会社・保険代理店が無制限の補償をお勧めするのかを解説していきます。無制限の補償なんていらないよ、とお考えの方は非常に危険ですので、ぜひお読み下さい。

1.億単位の損害賠償に備え無制限の補償が必要である

ずばり、自動車事故の判例から対人事故・対物事故ともに、無制限で補償を付けておくことが欠かせないことがわかります。ここでイメージをし易いように実際の事例を見てみましょう。

横浜地裁判決平成23年11月1日※出典 2013年12月9日付け 保険毎日新聞より抜粋

被害者:41歳男性 眼科開業医

損害賠償額:5億843万円

歩行者横断禁止規制のある国道を酩酊して横断を開始し第一車線中央付近で立ち止まっていた被害者に走行中のタクシーが衝突し、死亡させた。

被害者は、病院勤務を経て5年前に眼科クリニックを開設した41歳の眼科医。事故前4年間の平均所得が5,500万円を超える高額所得者であったため、逸失利益が4億7,850万円と高額となった。

被害者側は、医師は一般会社員のような定年もなく、70歳まで稼働できると主張。

この事例をご覧になって、どのような印象を受けましたでしょうか。法で定められ、強制加入である自賠責保険の支払限度額は死亡事故の場合ですと3,000万円です。

もしあなたが任意で加入している自動車保険の対人賠償が無制限ではなく5,000万円限度だとすると、この事故では以下のような計算になります。

508,430,000円-30,000,000(自賠責保険からの補償)+50,000,000(任意保険からの補償)

=428,430,000円(保険から補償されず自己負担する部分)

 つまり、約4億3千万円もの損害賠償金を負担しなくてはいけないことになるのです。個人であろうと、会社であろうと、この様な高額な賠償金を自腹で払う、というのは現実的ではありません。この時点ですでに無制限の補償が必要であることはおわかりかと思います。

次に、対物賠償の事例を紹介します。

2016年7月14日 産経ニュースより引用

運転手と運送会社に32億円賠償命令 首都高タンクローリー炎上、橋の架け替えなど損害

首都高速で平成20年にタンクローリーが炎上した事故を巡り、橋の架け替えなどの損害が生じたとして、首都高速道路が運転手の男性や、輸送業務を委託した出光興産などに賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は14日、男性と勤務先の運送会社に計約32億8000万円の支払いを命じた。出光への請求は棄却した。

運送会社が加入していた共済から約10億円が首都高側に支払われたが、熱による橋桁の変形や通行規制で損害額が膨らんでいた。事故車に出光のマークがあったことから、首都高は「出光には下請けへの使用者責任がある」と主張したが、青木晋裁判長は「個別の運送業務について、出光が運転手を指揮監督する地位にあったとは言えない」と判断した。首都高速道路は「判決の内容を検討し、関係者と協議して今後の対応を決めたい」としている。

こちらも記事の内容からお分かりの通り、非常に高額な賠償命令が出た事故です。共済から10億円の支払いがあったようですが、支払い命令は32億円超ですので残りの22億は負担せざるを得ない、という結論に至ります。

『こんな事故、なかなか起きないよ!』とお考えもしれませんが、恐らく先ほど紹介した2件の運転手もまさか自分が事故を起こすとは思いもよらなかったはずです。

いつ何時、どの様な事故が起きてしまうか、予想をすることは難しいですよね。もちろん安全運転を心がけ、事故を起こさないように努めるのが第一ですが、自動車の事故はふとした気の緩みが原因で起きてしまうことも少なくありあせん。

この様な高額な事例を見ても、『無制限の補償は不要だなと』、考える方は少ないはずです。とは言え、無制限の補償って保険料が高いのでは?という考えも捨て切れないことが予想されます。

ここからは保険料を節約するためにどの様な方法があるのか、簡単に解説をしていきます。

2.保険料の節約は対人・対物賠償以外の部分で考える

実は対人・対物賠償は【無制限】と【それ以外】の保険料の違いは数百円なのです。先ほど解説した事故をもとに考えると、数百円の保険料を削ったがために、何億円もの負債を抱えるリスクを取った、ということになってしまいます。

年間数百円と、残りの人生に重くのしかかる抱える数億円を天秤にかけたとすると、間違いなく年間数百円の出費を選択しますよね。しかしながら、保険料をなんとか節約したい、とお考えの方は以下の項目の見直しをお勧めします。

【運転者の年齢条件】

全ての年齢を補償・21歳以上を補償・26歳以上を補償、など年齢により保険料が異なります。もし保険の対象となる車に乗る人が27歳なのに、【21歳以上の補償】で契約をしているとすると、無駄に高い保険料を払っていることになります。そのため、実態に沿った年齢条件を設定することで保険料の節約に繋がる可能性があります。

【運転者の限定】

個人で自動車保険を契約する場合、運転者を限定することで保険料を節約することができます。例えば、家族だけを補償する家族限定や本人と配偶者に限定するものなどがあります。運転者を限定することで事故を起こすリスクが減る、ということで保険料が割安になるのです。

【車両保険の取り外し】

事故により壊れてしまった自分の車を修理するときに使える車両保険ですが、この補償の有無では保険料は大きく変わります。新車、購入から数年の車には必要な補償だと考えられますが、古い車の場合は保険料が無駄になってしまうケースもあります。

例えば…

車の価値(支払限度)が20万円しか付けられない車に車両保険を付けている。車両保険部分だけの保険料は年間で10万円掛かっている。つまり、年間10万円を支出して20万円の補償を買っていることになり、費用対効果をしっかりと考えるべき項目だと考えられます。

まとめ

なぜ、自動車保険の対人・対物賠償に無制限の補償が必要なのか、解説をしてきました。

保険料の節約も大切なことですが、何か事故が起きた時、被害者にとって十分な補償ができる、自分が負う負担を軽減する、というのが保険のあるべき姿だと考えられます。万が一の際に被害者が困らないように、そして自分自身が困らないように、無制限の補償はとても大切だと言えるでしょう。

この記事をお読みいただいた方は、加入している保険の内容を見直してみてください。もし無制限の補償が付いていない場合は早急に変更の手続きを進めましょう。

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