損害賠償

ホテル・旅館などの宿泊業者が必ず入るべき賠償責任保険

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あなたは、ホテルに宿泊をしているお客様から賠償を求められるなどのトラブルが起きた時、どう対応すべきなのか、不安に感じているのではないでしょうか。
ホテルや旅館などの宿泊施設は、サービス業・飲食業(レストラン)・販売業(お土産)など、様々な業種が重なりあっている業態です。

また、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に伴い、日本人・外国人問わず多くの宿泊客、施設の利用客が増えることが見込まれ、通常時に比べトラブルが増えることも考えられます。

そのため、ホテル側が気をつけなければいけないリスクも多く、万が一のトラブルが起きた時にしっかりと対応できる保険に加入しておくことが非常に大切です。
この記事では宿泊業者が必ず入るべき保険を解説していきますので、ぜひお読みください。

1.様々なトラブルから身を守る賠償責任保険

宿泊業界で働くほとんどの方が既にご存知だと思いますが、仕事や施設を原因とする事故が起きた時は、賠償責任保険で対応をすることができます。
しかしながら、ひと口に【賠償責任保険】と言っても色々な種類があり、対応できる事故もそれぞれ異なります。この記事の書き出しでもお伝えしている通り、ホテルや旅館は様々な業種が絡んでいるため、ホテル・旅館向けにパッケージ化された保険に入る必要があります。

ここからは、実際にどのような仕組みの保険なのかを解説していきます。

1-1.旅館賠償責任保険でほとんどのトラブルに対応できる 

宿泊施設内で起きるトラブルは損害保険各社で販売している【旅館賠償責任保険】で対応することができます。施設賠償や生産物賠償など、単品の保険でもそれぞれ補償ができますが、契約の手続きの手間や、細かい補償内容の部分でパッケージ化された保険が優れています。

※この保険に加入できる条件として、【旅館業法に基づいて旅館業として許可されている】必要があります。
そのため、近年増えてきている【民泊施設】はほとんどの場合で加入のハードルが高いと考えられますので、記事を読み進める際はご注意ください。

実際にどのようなトラブルに対応ができるのか、イメージをして頂くためにいくつか事故例を紹介します。

○ ホテル内のレストランで誤ってコーヒーをこぼし、宿泊客の洋服を汚してしまった。
○ 客室ベランダの柵が突然はずれ宿泊客が転落し、死亡してしまった。
○ 修学旅行生に提供した料理が原因で集団食中毒が起きてしまった。
○ フロントで預かっていた宿泊客の私物を失くしてしまった。

万が一お客様が死亡してしまったら…遺族とのやり取り、慰謝料の支払いなど、考えるだけでイヤなことですが、ホテルとしてしっかりと対応をする必要があります。

また、修学旅行生の食事は【全員が同じメニュー】ということが、ほとんどだと思います。
人数が多いことに、同じものを食べる、ということを加味すると、リスクが大きいことは想像しやすいですよね。

旅館賠償責任保険では、このようなトラブルが起きたときに、被害者に対しての損害賠償金や、訴訟まで発展してしまった時の弁護士費用などを補償することができます。
まれに、『施設の賠償保険に入っているから大丈夫』と勘違いをされている方もいらっしゃいますが、単品の施設賠償責任保険ですと、食中毒のような一度ホテル側の手元を離れたものによる事故は補償できません。

逆もまたしかりで、生産物(PL保険)だけに加入していた場合は、建物が原因で起きた事故や、サービス提供中の事故は補償できません。
【保険の掛け漏れ】を起こさないためにもパッケージ商品に加入する必要があるのです。

なお、【法律上の賠償責任が発生したとき】に発動できる保険ですので、言いがかりやホテルに過失が認められない事故については補償することができないので注意が必要です。

★ ホテルに過失がないときはお見舞金の補償で対応できる可能性がある ★
ホテル側に過失が無いとはいえ、【ホテルのなかで起きたことだから、なんとかしてよ!】とお客様から物言いがでることも予想できます。

このようなケースは、お見舞金の補償をオプションとして付けると対応できる可能性があります。

トラブルが起きた後に、『あのホテルは何もしてくれない!』などの風評被害がレビューサイトなどから広がることを防ぐためにも、役立つ補償だと考えられます。
少なからず、ホテル内で起きてしまった事故ですので、【お見舞いの気持ちや誠意】といった部分を見せるためにも有効です。

1-2.施設を一時的に利用しているときの事故も対象になる

 ホテル・旅館の賠償保険、と聞くと宿泊している人とのトラブル-とイメージしがちですよね。
実は、宿泊以外の目的でホテルを利用するお客様や第三者とのトラブルも補償の対象になり得るのです。

例えばホテルに常設されている、会議室、会見場、スパ、温泉、などで起きた事故や、食事目的だけでレストランを利用した人との間にトラブルが起きたときも保険で対応することができます。

※仮にスパやレストランなど、運営する母体が別の法人の場合でも、【管理責任】を問われるケースがあります。
また、バックヤードの床が濡れていて、食材の納入業者などが転倒した、などの事故も対象になります。

注意が必要な点は、【常設かどうか】という基準ですが、これは各保険会社の判断によるので、お見積りやご契約の際に必ず確認をしましょう。
また、常設と認められないケースについては、単品の賠償責任保険やその他保険で補償できる可能性があるので、あわせて確認をしましょう。

1-3.敷地内での自動車事故はケースバイケースなので注意が必要

敷地内で自動車を原因とする事故が起きた時、場合によっては旅館賠償責任保険では対象にならず、別の保険でカバーする必要があります。

また、ポイントのひとつとして、事故が起きたときに運転していたのが誰か、という点があります。
では事例を紹介しながら詳しく解説していきます。

○ 旅館賠償責任保険で対応できるもの ○

ホテルの駐車場で従業員が誘導ミスをしてしまい、宿泊客が運転する車にキズがついてしまった。

この場合は旅館賠償責任保険の対象になり得ますが、ポイントは宿泊客が運転するという点です。
もちろん、誘導ミスをした従業員にも過失はありますが、この様な事故では運転者にも過失が発生する可能性が非常に高くあります。
過失の割合は、運転席からの見え方(右ハンドルor左ハンドル)や、前進orバックか、など状況を細かく確認し、保険会社が判断します。

例えば、駐車スペースに対して明らかに車幅が広い車だと分かりながら、誘導をしてしまった、ということであれば従業員の過失が大きくなる可能性もあります。
反対に、誘導を無視して宿泊客の独断で事故を起こした、ということであれば立場が逆転する可能性もあります。

あくまで保険会社の判断基準ですので、大きなトラブルを避けるためにホテル側で相手の過失分を払ってしまう、というのもひとつの手です。
その場合は保険会社からホテル側の過失分が補償されます。

※例えば…

車の修理代金→100万円(時価額等考慮して金額妥当な場合)
過失の割合→ホテル9割:運転者1割
ホテルが修理代金を全額負担→90万円は保険から補償される。

× 旅館賠償責任保険で対応できないもの ×

宿泊客から鍵を預かり、従業員が駐車場内で車を移動させている際にぶつけてしまった。
この様な場合は【自動車管理者賠償責任保険】、という別の保険でカバーしないといけません。
運転しているのは従業員ですので、持ち主に過失は発生しません。

この保険については、こちらの記事で詳しく解説をしているのでぜひご覧ください

自動車管理者賠償責任保険の必要性と加入するときのポイント

○ 宿泊客同士の自動車事故は当事者の自動車保険で対応をする ○

ホテル側(従業員)の監視がないところで宿泊客同士が自動車の接触事故を起こしてしまった。

この場合は、宿泊客が加入している自動車保険で対応をすることになります。
ごく稀に施設の管理責任を問われるケースもありますが、当事者同士で事故処理を進めていくことがほとんどです。

この様に、自動車の使用や管理に関わる事故はケースによって使える保険が異なるため、事故が起きた際はその場で曖昧な対応することは避け、代理店や保険会社に相談をしましょう。

1-4.外国人観光客との間で事故が起きた場合はいち早い解決を目指す

日本を訪れる外国人観光客は増加の傾向を辿り、毎年政府が掲げる目標数値を大きく上回る客数を記録しています。
また、日本政府は東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年の訪日外国人客数の目標を4,000万人とし、現在の成長率を維持すれば4,000万人を突破することが現実味を帯びています。

そのため、ホテルや旅館にもたくさんの外国人観光客が訪れることが予想され、受け入れる側としてもトラブルが起きた際の対応はしっかりと準備をしておきたいものです。
ここまで解説をしたような事故であれば、被害者が外国人であっても当然補償はされるのですが、怪我の治療などについては注意が必要です。

★ 日本滞在中の事故解決を目標とする ★

ある保険会社の保険金支払部門に確認をしたところ、観光客に怪我をさせてしまった場合はできる限り日本滞在中に事故解決まで辿りつくことが望ましいという回答がありました。

※保険会社によって異なる場合もありますので、あくまで一例としてご理解ください。

余程特別な事情が無い限りは日本国内で治療を行い、掛かった費用に対し保険で補償をする、という流れになります。
そのため、本人が不安だからどうしても帰国してから治療したい、などはNGです。

仮に、食中毒などで長期の入院が必要となり、それに伴い止むを得ず旅行日程を変更した場合は、変更にかかった費用(交通費・宿泊費など)も賠償責任保険で対応することができます。
母国に帰国をしたあとも治療が必要であり、保険会社が治療の継続が妥当であると判断した場合は海外送金で対応をします。

また、外国人観光客が施設内で怪我をしたときに備え、多言語で対応をしてくれる機関をあらかじめ把握しておくのも良いでしょう。

※参考 オールジャパン リロケーション 株式会社

このWEBページには、日本の主要都市における外国語対応の病院や、緊急時のホットラインの情報が記載されています。

まとめ

この記事で解説をした通り、不特定多数の人が出入りをするホテルや旅館では様々な事故やトラブルが潜んでいます。
万が一事故が起きたときの対応次第では、ホテルの評判にも影響が及ぶことも考えられます。
そのため、しっかりとした保険への加入をする、また既に加入をしている方は内容の見直しをするなど、万全な態勢を整えることが重要です。

また、宿泊客がホテル内で起こしてしまった賠償事故や、宿泊客の怪我を補償するためにホテルが加入できる保険もありますので、次回の記事でご紹介します。

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