損害賠償

コロナ禍の忘年会で会社が危機に!意外と知らないゾッとするリスク

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あなたは、コロナ禍における社内の忘年会について、漠然とした不安をお持ちかと思います。

『コロナの影響で顔を合わせる機会も少なくなったので、社員同士が交流できる宴席を設けたい。とは言え、この時代に大人数で会食をするのはいかがなものか…』など、開催と自粛の間で揺れているのではないでしょうか。

ある調査では、全国の企業約1万社のうち、約9割が忘年会や新年会の開催を見合わせる、という結果が出ており、日本全国で『飲み会』に対してネガティブな気持ちをもっていることがわかります。

忘年会に誘われる立場として一番多い意見は『感染するのが怖いから』つまり、感染することに対して大きなリスクを感じているのです。
至極まっとうな意見で『命より大事な忘年会なんてない』と思わず称賛の拍手を送りたくなるような声もあがっています。

しかしながら、前述の忘年会に誘われる立場が感じるリスクと、忘年会を主催する会社が抱えるリスクは全く異なります。そのリスクを理解し、トラブルが起きてしまったときの解決策を持っているかどうか、が会社を守る鍵になるのです。

この記事では、コロナ禍で忘年会を開催することにより被る可能性があるリスク、そしてその解決策を解説していきます。

1.会社は法的な責任を問われることもあるので注意が必要

まず、結論からお伝えすると、コロナ禍における会社の忘年会には、『法的な責任を問われる可能性がある』というリスクが伴います。

本来楽しいはずの忘年会が原因で大変な目に遭う、ということを避けるためにも、どの様なことが『法的なリスク』につながるのか、見ていきましょう。

1-1.感染対策が不十分な忘年会は安全配慮義務を問われる

まず、会社は働く従業員に対して“安全に健康で働けるように配慮する”という安全配慮義務があります。

もし、会社が企画・実施する忘年会で感染に対しての予防策が十分でなかったために、集団感染が発生してしまう、ということがあると『会社が主催した忘年会のせいで大変な目に遭った!』(安全配慮義務違反)など従業員やその家族から訴えられることも予想できます。

【注意!会社に黙って勝手に開催した忘年会でも会社が責任を問われる】

コロナ禍という時代背景もあり、『忘年会は固く禁止する』という対策を講じている会社もあるかと思います。しかしながら、残念なことに会社が預かり知らないところで開催された忘年会で感染が起こってしまった場合でも、会社が責任を問われることもあり得るのです。

実際に、従業員が個人的に行った忘年会で起きたトラブルについて、会社の責任を認めた判例もあります。

 

〜社員暴行で賠償金 新人歓迎会ここまでやったら会社の責任〜

忘年会で社員が暴力を振るったら、会社が責任を取らされた――。こんな判決が話題だ。

トラブルが起きたのは居酒屋運営会社「フーデックスホールディングス」(東京)。2013年12月、同社の海鮮居酒屋で働いていた男性(50)が忘年会に参加。2次会で同僚から非難を受け、「めんどくせえ」と言い返したところ、殴る蹴るの暴行を受けた。

男性は肋骨を折るなどして3週間後に退職。殴った同僚は傷害罪で罰金30万円の略式命令を受けた。15年8月、男性はフーデックスと同僚に対して約177万円の賠償請求訴訟を起こした。

 フーデックスは私的な会合であり、忘年会も禁じていたと主張したが、東京地裁は「会社が忘年会を禁じても会社は使用者責任を負う」として同社と同僚に約60万円の支払いを命じた。

この事例からお分かりの通り、いくら会社が忘年会を禁じている、と言っても責任を負うことがあるのです。
特に、いわゆる【普通の飲み会】に比べ、歓迎会や忘年会などは業務と関連した行事としてみなされる可能性が高く、その場で何かトラブルがあると責任を問われるリスクも高まる、と言えます。

少し尖った言い方をすると、会社は一個人に比べて支払い能力、財力がある、と見られがちなことからも、こういった訴えのターゲットになりやすいと考えられます。

1-2.忘年会が業務であれば、コロナ感染は労災になり得る

『仕事が原因でコロナに感染した』という労災の申請は、2020年9月下旬時点で審査が終わった685 件の労災申請が全て【労災】として認定されています。
こちらの記事で解説をしている通り、コロナウイルスは労災認定されやすくなっている、というのが現状です。

コロナは労災認定される!経営者が会社を守るために入るべき保険とは

このことを踏まえて、“忘年会”というキーワードに視点をおいたとき、考えるべきことは『忘年会は業務かどうか』です。

基本的に懇親会等は業務として見られることは少ないのですが、下記4つの条件を満たすようであれば業務としてみなされ、コロナへの感染が労災として認定される可能性も高まると言えます。

  1. 会社が主催している
  2. 参加が強制されている、会議等を兼ねている
  3. 会社が費用を負担している
  4. 残業代や参加することに手当を支給している

さらに、労災認定された感染者が重症化する、万が一死亡してしまう、ということがあればそのことを原因として労災訴訟まで発展し、会社には多大な責任が生じ、高額な損害賠償命令が下る、など経済的にも大きなダメージを被る、そんな可能性も否定できません。

また、人数が多ければこの様な事態も考えられます。

  1. クラスターが発生
  2. 数人が労災申請を進める
  3. 申請がすべて労災として認定される
  4. 噂を聞いた感染者全員が労災申請をする→申請に係る業務量が莫大になる

日常業務が行えなくなり、労災申請に追われる毎日に…こんな事態は間違いなく避けるべきですよね。
このことからも、忘年会は非常に大きなリスクと隣り合わせであることがお分かりかと思います。

1-3.参加の強要や不参加者への嫌がらせはハラスメント!労務トラブルに発展する

『忘年会には参加しない』と意思表示をしている従業員に対し、参加を強要すること、参加しなかった従業員に対して嫌がらせをする、陰口を言う、仲間外しをする、などの行為はハラスメントに該当するため、その様なことが無いように目を光らせておく必要があります。

ハラスメントの被害を受けた従業員が、当事者個人や会社を相手取って訴えてくることも十分に予想でき、弁護士への相談、事実関係の確認など、突発的なトラブルで右往左往することになってしまいます。

先程の労災と同じ様に、労務トラブルの対応に時間を割くことになり、本来の仕事がまったくできなくなる、という非常に非効率的な負のループに陥ってしまいます。

ここまでお読みの方は、【コロナ禍における忘年会は非常にリスクが高い】ということをお分かりいただけたはずです。

どうしても忘年会をする場合は、細心の注意を払って〜ということにはなるかと思いますが、実際にトラブルが起きてしまったとき、どの様に会社を守るのか、解説を続けていきます。

2.万が一の事態に会社を守ることができる保険に入る

先ほど解説をしたトラブルが起きてしまったときに備え、会社が用意しておくべき保険は2つあります。

それは、

1.労災の上乗せ保険(使用者賠償責任保険をつけたもの)

2.パワハラ・セクハラなどに対応した損害賠償保険(雇用慣行賠償責任保険等)

です。

まず、労災の上乗せ保険は、忘年会が原因で従業員がコロナウイルスに感染してしまい、労災認定をされたときに役立ちます。

国の労災保険ではまかなうことのできない、慰謝料や、万が一労災訴訟まで発展してしまったときの訴訟費用、弁護士費用など保険で補うことができます。

詳しい内容はこちらの記事で解説をしていますので、あわせてお読みください。

コロナは労災認定される!経営者が会社を守るために入るべき保険とは

次に、パワハラ・セクハラなどに対応した損害賠償保険(雇用慣行賠償責任保険等)です。

前述の様に、忘年会の参加を強要したことや、不参加者への嫌がらせがハラスメントにあたる、と会社や個人が訴えられてしまったときに有効な保険です。

本来会社としてあるべき姿は、この様なハラスメントを起こさない、というトップの強い意志と予防策を万全に講じておくのが理想ですが、実態としてはなかなか難しいとか思います。

万が一、忘年会がきっかけで上記のようなトラブルが起きてしまったときの、示談金・和解金・弁護士費用などをまかなえる保険です。

コロナ禍での忘年会だけに限らず、会社が訴えられやすい世の中ですので、こういった保険を用意しておく必要性は高いのではないでしょうか。加入のポイント等はこちらの記事で解説をしています。

加入は必須!パワハラで会社が訴えられたときに役立つ保険

まとめ

コロナウイルスが世間を大きく騒がせてから、初めての年末が訪れようとしています。

記事の冒頭でお伝えをした通り、多くの企業が忘年会、新年会の開催を見送る、という事実を目の当たりにすると、率直にとても残念だなぁ、と感じます。

しかしながら、この様な状況下で忘年会を行うことは、リスクが非常に高いこと、会社にとって大きな打撃を与えかねない、というのが紛れもない事実です。

たった一回の飲み会が原因で会社が無くなるかもしれない、という最悪の事態を考えると『忘年会を行わない』という判断は間違いないかと思います。

あなたの大切な会社を守るためにも、リスクとその対策をお分かりいただけると幸いです。

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