この記事でわかること
- 忘年会・歓迎会など社内イベントで会社が負う法的責任の種類
- 「会社が禁止していても責任を問われる」判例の実態
- ハラスメント・けが・飲酒事故など、イベント後のトラブル事例
- 会社を守るために加入すべき2つの保険
社内イベントは「楽しい行事」だけでは済まない
忘年会、歓迎会、社員旅行、チームの打ち上げ。社内のコミュニケーションを深める場として、多くの会社が定期的に開いています。
ところが、こうした場でひとたびトラブルが起きると、会社が損害賠償請求の対象になるケースが後を絶ちません。
「うちの会社は関係ない」と思っていても、実際には会社が主催していない飲み会でさえ、法的な責任を問われた判例があります。
この記事では、社内イベントにひそむ法的リスクの全体像と、万が一のときに会社を守る保険の選び方を解説します。
1. 会社が責任を問われる3つのリスク
1-1. 安全配慮義務違反
会社には、従業員が安全に健康で働けるよう配慮する義務(労働契約法第5条)があります。
社内イベント中に従業員がけがをした、体調を崩した、あるいは事故に遭ったとき、「会社として十分な安全対策を講じていたか」が問われます。
たとえば次のようなケースは、安全配慮義務違反として会社の責任が認められる可能性があります。
- 飲酒後に車で帰宅させ、事故が発生した
- 体調不良の訴えを無視して参加を強いた
- 会場の安全管理が不十分でけが人が出た
1-2. 使用者責任(会社が主催していなくても問われる)
「うちは忘年会を禁止しているから関係ない」——残念ながら、この考えは通じないことがあります。
実際に裁判所が会社の責任を認めた事例があります。
居酒屋運営会社の社員が参加した忘年会の2次会で同僚から暴行を受け、肋骨を骨折。被害者が会社と加害者を訴えたところ、東京地裁は**「会社が忘年会を禁じていても使用者責任を負う」**として、会社に約60万円の支払いを命じました(フーデックスホールディングス事件)。
歓迎会や忘年会は「業務に関連した行事」とみなされやすく、普通の飲み会よりも会社の責任が問われるリスクが高い点に注意が必要です。
1-3. ハラスメントによる労務トラブル
社内イベントの場でのハラスメントは、年々問題になっています。
- 参加を断った従業員への嫌がらせ・仲間外し
- 酔った上司による暴言・身体的接触
- 帰宅を断れない雰囲気での強制的な2次会
こうした行為はパワハラ・セクハラに該当し、被害を受けた従業員から会社と個人が訴えられるリスクがあります。2022年4月からはパワハラ防止措置が中小企業にも義務化されており、対応が後手に回った場合の会社の責任はより重くなっています。
2. 業務上のイベントは「労災」にもなり得る
社内イベントが「業務」と認定された場合、そこで起きた事故やけがは労災の対象になります。
特に次の条件が重なる場合は、業務性が認められやすくなります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| ① 会社が主催している | 幹事が会社側であるケース |
| ② 参加が事実上強制 | 欠席すると人事評価に影響するなど |
| ③ 費用を会社が負担 | 全額または一部を会社が払っている |
| ④ 手当・残業代が支給される | 参加自体が勤務扱いになっているケース |
労災認定がされた場合、国の労災保険だけでは慰謝料・訴訟費用・弁護士費用はカバーされません。そこで後述する「上乗せ保険」が重要になります。
3. 会社を守るために入っておくべき2つの保険
社内イベントに起因するトラブルに備えるには、以下の2つの保険が有効です。
保険① 労災上乗せ保険(使用者賠償責任保険付き)
国の労災保険でカバーできないものを補完する保険です。
カバーできる主な内容:
- 慰謝料・逸失利益など国の労災保険の給付を超える部分
- 労災訴訟に発展した場合の訴訟費用・弁護士費用
- 遺族への損害賠償金
社内イベントが労災と認定されたとき、会社が最終的に負う金銭的なダメージを大幅に抑えることができます。
保険② 雇用慣行賠償責任保険(EPL保険)
ハラスメント・不当解雇・差別的扱いなどの雇用上のトラブルに対応する保険です。
カバーできる主な内容:
- 従業員からのハラスメント訴訟に対する示談金・和解金
- 弁護士費用・訴訟対応費用
- 調査・事実確認にかかる費用
社内イベントに限らず、日常の職場でのハラスメントトラブル全般にも対応できるため、従業員数が増えてきた会社には特に有効です。
まとめ:「イベントで訴えられる」は他人事ではない
今すぐできる対策チェックリスト:
参加は任意であることを明文化している
飲酒後の運転を禁止するルールがある
ハラスメント防止の社内規程が整備されている
労災上乗せ保険・EPL保険に加入している
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最終更新:2026年6月 4日/ 監修:NOLiNA(サンロ・ジャパン株式会社)












