あなたはテレワークであってもパワハラは起きるのか、パワハラとして認められてしまうのか、不安に感じているのでは無いでしょうか。
実際のアンケート調査結果によると、管理職であっても部下であっても、テレワーク中のコミュニケーションに悩みを感じている、という回答が多くあります。
そして、そのコミュニケーションに対する不安や不満がパワハラにつながる、ということは十分考えらることです。
コロナウイルスの影響でバタバタしているのにも関わらず、追い打ちを掛けるようにパワハラで社内トラブルが起きてしまう…。
コストや手間を掛けて取り組んだテレワークが原因で、こんなことになってしまうのは非常に残念ですよね。
しかしながら、今までの働き方と見比べたときにテレワーク特有のリスクがあることも事実です。
この記事では、そのリスクと万が一大きなトラブルになってしまったときに備える保険を解説していきます。
テレワークによる、不要なトラブルを避けるためにも、ぜひお読みください。
1.働く人の半数以上がテレワークで悩んでいるため、パワハラ予備軍が多くいる
ダイヤモンド・コンサルティングオフィス合同会社がテレワークにおけるハラスメントの実態調査のために行ったアンケート結果によると、下記図の通り立場関係なく多くの人が悩んでいることがわかります。
上司の方々は約半数の方、部下として働く方々は実に80%もの人がストレスや不快感を感じる、と回答しているのです。
また、部下側からは出社時に比べ、ストレスや不快感が増えた、という回答も65%と多く見られています。
具体的な内容としては
- 伝えたいことが上手く伝わらない
- 必要以上にコミュニケーションを取ってくる
- 上司の監視
- 仕事とプライベートを分けられない
- 終業後も電話が掛かってくる
といった声があがっているようです。
悩んでいるのは上司も同じ
統計を見ると『部下の方が悩みを抱えている』、と考えてしまいますが、上司として管理する人であっても悩みがあるのは同じです。
実際の回答を見ると
- 文字でのやり取りが増えた分、感情が読み取りにくい
- 反応が遅かったり、顔が分からないので状況が分からない
- 実際の成果を見る以外に、さぼっていないかを確認する手立てがない
- コミュニケーションの距離感
などがあります。
慣れないテレワークでの部下との関わり方について頭を悩ませている方が多くいるようです。
そのため、一概に『テレワークで上司に対する不快感が増えた』という部下側の意見のみを拾うのは、いささか不格好ではないでしょうか。
また、この様な労働現場からの声で【テレワーク】という新しい働き方が企業全体に負荷を掛けてしまう、ということがわかります。もちろん、新しい取り組みとあれば、トライ&エラーは必要不可欠で様々な問題が上がることも当然かと思います。
しかしながら、働く人が仕事に強いストレスを感じる、ということは会社に対する不満足につながり、ハラスメント等の労務トラブルに発展しかねません。
つまり、テレワークがいつ爆発するか分からないパワハラ予備軍を作り出し、企業はリスクを抱えることになるのです。
そしてテレワークにおけるパワハラはリモートハラスメント(以下リモハラ)、という言葉に形を変え、注目を集めているため、企業がこの問題に本気で取り組むことが求められています。
1-1.リモハラという新しい言葉が注目を集め、社会全体の関心が高まっている
今日の社会では常に新しい【ハラスメント】が生まれており、記事をお読みの皆さまも嫌気がさしているのではないでしょうか。
ご多分に漏れずテレワーク等の新しい働き方が原因で起きるハラスメントは【リモハラ】とされ、社会的に関心を集めています。実際にどの様な声があがっているのかいくつか紹介します。
- 仕事をしているのかどうか、カメラをずっとonにしたままを要求し、席にいないと怒られる
-
web会議システムがない会社の場合、仕事をしているかどうか写真を撮って送ってくるよう指示がある
- web会議で、みんなが参加している前で、長々と怒鳴られる
- 休校中の子供が、会議中に声を挙げてうるさくしたため、会議を途中退席したところ、後で上司から電話がかかってきて、怒られた
- 残業申請をしたら「自宅で仕事しているのに、そんなにやったのか?」と疑われ、申請を許可してもらえなかった
-
家族構成を細かく聞かれ、画像に映して紹介しろと言われた
- 「どうせ(自粛で)家にいるんだから、暇でしょ?二人で飲もうよ」と誘われる
- 社内のオンライン飲み会で、「かわいいね、その服、全身見せてよ」「部屋の中を見るの初めてだ、なんか新鮮だね」「そのベッドでいつも寝てるの?そうなんだ、俺も寝てみたいな」と酔った上司に言われる
- 社内のオンライン飲み会で、「お風呂入ろうかな」と洋服を脱ぎだす
FNNプライムオンラインより引用 https://www.fnn.jp/articles/-/47878
ここで紹介した全てが必ずしもリモハラとして大きな問題になるかはわかりませんが、大小関わらずそこにトラブルの火種があることは確かです。
そして、通常時とは異なるテレワーク特有のリスクがあるため、そこを抑えてしっかりと対策を講じることが必要です。ここからは、対面時と比べどの様なリスクがあるのか、解説を続けていきます。
2.テレワーク特有のリスクを把握し、企業が対応をアップデートする必要がある
テレワークでは会社に出社して仕事をしているときとは異なるリスクがあります。
新しい働き方であるため、考えられるリスクは続々出てくるかと思いますが、ここでは3つほどピックアップして解説します。
まず1つ目は【やり取りの記録が残りやすい】ことです。
通常時と比べてみると、この様なことが考えられます。
★通常時:社内で上司が部下に必要以上の叱責をし、人格否定をするような言葉を掛けてしまった。
→同僚で目撃者がいるものの、トラブルに関わりたくないので見て見ぬ振り、パワハラは明るみに出ず。
★テレワーク:多くの人が閲覧できるグループチャットや、メールで部下に対してパワハラと取れる文面を送信してしまった。
→ログ(記録)やデータが証拠として残ってしまうため、ハラスメントとして告発された時に言い逃れはできない。
面と向かっては言えないことであっても、チャットやメールではキーボードを叩けばどんなことでも送れてしまう、ということも考えられます。
また、同じニュアンスの言葉であっても、口で伝えるより字面で見ると角が立って見えることもあります。
2つ目は、【ひとり】で仕事をすることです。
会社という誰かしらの目があれば、ハラスメントになりそうなことがあったとしても同僚の慰めや、フォローがあるはずです。度が過ぎることがあればハラスメント被害の当事者ではない誰かが告発をする、ということもあり得ますよね。
しかしながら、テレワークの場合は周りに誰もいないため、ひとりで問題を抱えることが多くなってしまいます。
誰にも相談する機会がなければ不満や不安は大きくなり、従業員からの訴えがあり、ようやく会社が問題に気付く…。
まさに【寝耳に水】となり対応は後手になってしまいます。
3つ目は【労働環境が変わったことによる苛立ち】です。
『リモートワークになってから、上司がパワハラ気味になってきた』という悩みが増えているようです。
さらに、部下側の主張としてあるのは『職場で対面していたときは、普通の良い上司だったのに…』という意見です。
管理職からすれば、
- 普通に仕事をしていれば面と向かってすぐ話せることが、リモートワークだと時間が掛かる
- 部下の状況が目に見えないまま待たされる
など管理職特有の悩みがあるのも当然です。
- 上司はついつい攻撃的になってしまう、過剰な監視をしてしまう
- 部下は些細なことであっても『ハラスメントだ!』と敏感に反応してしまう
というリスクが考えられます。
企業に求められるのは時代背景にあわせた対応・対策のアップデート
新しい働き方を継続していくと、ここで解説をしたようなリスク以外にも様々な問題が出てくることも十分考えられます。
そこで企業に求められるのは対応・対策のアップデートです。
就業規則や社内マニュアルを見直さないまま、世の中の流れに乗って何となくテレワークを始めてしまう、ということは非常に危険です。
社内の体制がしっかりと整っていないと、先ほど解説をしたような【苛立ち】が生まれるリスクも高くなるはずです。
とはいえ、社会的に見ても新しいリスクであるため、対応が難しい、というのも事実です。
だからこそ、企業がホンキを出して取組むべきであり、社労士・顧問弁護士・産業医と入念に打ち合わせをする、など労働環境の整備、企業防衛策を改める必要があると考えられます。
3.リモハラを原因とした損害賠償には保険で備えを用意する
ここまで、テレワークについての悩みの実態やリスクを解説してきました。
そして、今後増えてくると予想されるのは、リモハラをきっかけとした従業員からの訴えです。
まだ実例こそ世に出ていないものの、コロナウイルスが収束した後もこの働き方が一般的になってくるのではあれば、リモハラで会社が訴えられる、というリスクも十分あります。
そこで会社を守るために有効な保険が、雇用管理の賠償責任保険です。パワハラやセクハラに対応する保険、ということで非常に加入率が高くなっており注目されている保険です。
この保険に加入をしておくと
1.会社や個人がリモハラで訴えられたとき、示談金・和解金・弁護士にかかる費用などをまかなうことができる。
2.労務に強い弁護士の紹介を受けることができる。
3.保険会社・代理店が介入することで早期解決に繋がる。
といったメリットを受けられます。
また、取引先など社外からのハラスメントを原因とした訴えにも対応できる保険でもあります。
ここでひとつ想像してみましょう。
Dさん『いいよね、Bさんの会社は在宅なんでしょ?涼しい部屋で仕事ができていいねぇ、俺なんてこの暑いなか毎日外回りだよ』『Bさん今日も家で仕事?楽しているよねぇ』『なんですぐ電話出ないの?会社に電話しても全然取り次いでくれないじゃん!』
など陰湿なイヤミを毎日のように言われたBさんは、勤務先に相談をしたものの、『とりあえず我慢して』などぞんざいな対応をされてしまった。
その後もDさんからのイヤミは止まらず、Bさんは『なんでこんな思いをしてまで仕事をしないといけないんだ…会社は相談したのに何もしてくれない!』
とついに法に訴える手段を取った。
といった様に社外からのハラスメントにも対応ができるため、このことからも必要性が高い保険であると考えられます。
この保険の加入方法やポイントなどはこちらの記事で解説をしているため、この記事を読み終えた後に続けてお読みください。
まとめ
テレワークにまつわるパワハラ、リモハラについて解説をしてきました。
このコロナ禍においては予想できないことが度々起こりますが、労務や人事、働く人にフォーカスをして言えることは【誰しもが正常なメンタルでいられなくなる】可能性が高いということです。
本来、『コロナウイルスを憎んで人を憎まず』ではありますが、どうしても人を『悪者』や『敵』と見てしまうのが現状です。
そして、記事の中でも解説をした通り最悪のケースでは会社が訴えられる、ということもあり得ます。
様々な対応・対策が求められていますが、この記事をきっかけ対策のひとつとして保険で会社を守る、という手段をお考えいただけると幸いです。