労災保険

労災の休業補償を貰うために知っておくべき3つの基礎知識

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この記事をお読みの方は、労災による怪我や病気で仕事を休んでおり、休業補償を受けたいと考えているのではないでしょうか?
しかしながら、労災保険は補償内容が分かりづらい、手続きが面倒だというイメージをお持ちの方も少なくありません。

休業補償は収入を補うために必要なものですので、補償の細かい内容やどの様にして補償を受け取ることができるのか、しっかりと知っておくことが大切です。

また、休業補償について理解をすることで仕事を休んでいる時の不安が解消され、生活の見通しも立ち、復帰までの道筋が明るくなることも期待できます。

この記事では労災で休業補償を貰うために知っておくべき3つの基礎知識を説明していきます。
労災による休業でお悩みの方は、この記事を読んだ後、すぐに請求手続きの第1歩を踏み出してください。

1.労災の休業補償とは

休業補償を貰うための3つの条件

1.仕事中または通勤中の怪我や病気が原因
2.仕事を休んでいる
3.給料を貰っていない

ただし仕事を休んだ初日から3日目までは待機期間といい、労災保険からの休業補償の対象になりません。
なお、待機期間の3日間は必ずしも連続する必要はなく、通算して仕事を休んだ日が3日になった時点で待機期間は終了とします。※下記図を参照

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2.支給される金額とその期間

休業初日から3日間は会社が休業補償をする

待機期間中の3日間は労働基準法の規定により、企業が休業補償を行うことになっています。
詳しくは以下の通りです。

  • 業務中の場合→平均賃金の60%が補償される。
  • 通勤中の場合→企業が休業補償を行う必要は無い。(有給休暇を取得するケースが多いようです)

平均賃金の80%が補償される

労災保険の休業補償は基本的に平均賃金の80%が補償されます。
平均賃金とは、労災事故が発生した日の直前3ヶ月の1日当たりの給料のことです。
ただし給料締切日が定められている時は、怪我・病気をした日の直前の締切日から直前3ヶ月になります。

つまりこの考えからすると、昇給など、給料が上がるタイミングと怪我による休業が重なった場合は、平均賃金の計算に昇給した給料は含まれないことになります。

以下にわかりやすく図で説明をしていきます。

平均賃金の計算例

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上記の平均賃金をもとに、40日間休業をしたとすると、
9,783円×0.8×40日=313,056
つまり、313,056円を休業補償として受け取ることができます。

低すぎる平均賃金には救済措置がある

前述の計算方法だと3ヶ月間フルタイムで働いていないパート・アルバイト・日払い労働の人などの平均賃金が著しく低くなってしまいます。そのための救済措置として最低保障額が設けられています。
なお、現在厚労省が定めている最低保障額は3,920円です。(平成26年8月1日時点)

補足:80%の内訳

支給される80%の内訳は以下の通りです。
休業(補償)給付=平均賃金×60%
休業特別支給金=平均賃金×20%

休業(補償)給付とは
休業補償のベースとなるものです。
休業特別支給金とは
休業補償をより手厚くするために、上乗せで支払われる部分です。

休業(補償)給付と特別支給金の申請は同時に行うため、それぞれ書類を用意する必要はありません。

休業補償は治るまで支給される

休業補償は怪我や病気が治るまで支給されます。
しかし、労災保険では医師の判断により、治療を続けても改善の見込みがないときも『治った』とされ、保険金の支給は終了します。労災保険ではこのことを、治癒(症状固定)と言います。

また、治癒をした後に体に障害が残る場合は、政府が定める障害の程度に応じて補償を受けることができます。

※参考 ・・・障害等級表

治療が長期化すると貰える金額が変わる

治療を始めてから1年6ヶ月後に治癒をしていない時は、年齢ごとに定められた限度額が適用されます。
限度額の適用方法は以下の通りです。

・ 平均賃金が最高限度額以上の時は、最高限度額を適用する
・ 平均賃金が最低限度額以下の時は、最低限度額を適用する

このことから、パートやアルバイトの短時間労働者の方は実際の平均賃金よりも高額になる場合もあります。
しかし高収入の方は実態よりも平均賃金が低額になり、生活の仕方を変える必要があるかもしれません。
そのため、治療が長期化する見込みのある方は自分の最高限度額を把握しておきましょう。

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また、1年6ヶ月を経過した日以降に治癒をせずに、体の状態が政府の定める1級から3級の傷病等級に当てはまるときは、休業補償から年金補償に変わり、2ヶ月ごとに支給されます。
この補償を傷病年金といい、等級の決定は医師の診断書をもとに労基署が行います。
また、労基署の決定により支給をするため、本人が請求手続きを行う必要はありません。

※参考・・・傷病等級表

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3.申請手続きの流れ

申請から支給決定までの道のり

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請求を始めてから給付決定までの期間はおおむね1ヶ月です。
しかし、怪我や病気の状態によっては労基署が細かく調査をする場合もあり、給付の決定まで1ヶ月以上かかることもあります。
また請求をどれくらいのペースで行うかは自由ですが、一般的には1ヶ月に1度申請をすることが多いようです。

退職後も請求は可能

治療中に会社を退職しても休業補償の請求は可能です。
また、2回目以降の請求が退職した後の場合は、会社の証明が必要ありません。
しかし、退職後の申請は会社からの協力が期待できないため、手続きは自分で行わなければなりません。
そのため、退職後に請求を考えている方は、申請方法を前もって把握しておくことをおすすめします。

まとめ

労災の休業補償について、3つの基礎知識をお伝えしてきました。
労災により仕事を休まざるを得なくなった場合に、休業補償は非常に役に立ちます。
あなたが休業で悩んでいるとき、また身近に同じような不安を抱えている方がいましたら、この記事をご参考に、休業補償をしっかり貰い、安心と満足をもって仕事に復帰をして頂けると幸いです。

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