内定辞退をしたら、内定先企業から損害賠償請求されるという噂を聞いたことがありませんか?
大変だった就職活動も終え、内定式をそろそろ控えている方も多いことでしょう。
その反面、条件の良い会社から内定が出て、本来行くはずだった会社の内定辞退をしたいなと悩んでいる方もいらっしゃることでしょう。
内定辞退は悪いことではありません。それでも、なかなか内定辞退の意思は伝えにくいものですよね。
でも、安心してください。内定辞退の行為は、法律の中で正当な行為として認められています。
一番大切なことは辞退の意思を申し出たい場合は、一日も早く行動をとることです。
この記事では、円滑に内定辞退をするために知識とマナーについて説明していきます。
ぜひ参考にして下さい。
1.企業が内定辞退者に損害賠償を請求できないのが原則
内定辞退は次の2つの理由より、正当な行為として認められています。
1-1.内定辞退が悪いことではない2つの理由
① 憲法で職業選択の自由が定められている
日本国憲法にて、職業選択の自由が定められています。たとえ、内定承諾書や誓約書を交わしていても、そこには法的な効力はないのです。
内定を与えた人が就職活動を続けたり、他社へ行ったりすることは職業選択の自由の枠の中と考えます。
② 民法で労働契約の解除が認められている
厚生労働省のHP(リンク)にあるQ&Aの【詳しく知りたい方はこちら】の③に記載があります。
労働者には労働契約の解除(雇われる側の退職の意思表示)が民法で認められています。
労働契約で明確な労働期間の設定がない場合、企業側が退職を認めないといった場合でも労働者が辞める意思表示をしてから、2週間経過すれば退職することができるのです。ですから、内定辞退も同じことが言えるのです。
2.内定辞退による3つのトラブルとその防止策
とはいえあなたが法律を無視しあまりに非常識な態度の場合、次のようなトラブルがあなたに降りかかる恐れがあります。
内定も契約行為の一つです。
内定者とはいっても、あなたは学生ではなくもう立派な社会人の一員です。
何事も一人の大人として常識的な行動をとるように心がけましょう。
2-1.非常識が招く3つのトラブル
① 企業側から損害賠償請求をされる可能性
内定辞退は正当な行為であるので、企業側から内定辞退者に対して損害賠償請求することはないと説明しました。
それはあくまでも法律にのっとって、正しい手順を踏んでいるからです。
ここで、入社日の2週間前までに伝えるということが法律にのっとった行為と言えるのです。
例えば「入社日前日に急に内定辞退を申し入れてきた!その人の体形に合わせた制服も用意していたのに!」など、損害額と内定辞退の因果関係を立証できれば、内定辞退者へ損害賠償請求も可能です。
しかしながら、実際問題として因果関係の立証は難しく、立証できたとしてもそれほど大きな額にはならないでしょう。
② 内定辞退をした企業が将来の取引先になる可能性
あなたと内定辞退した企業が何かのタイミングで、将来鉢合わせしてします可能性があります。
過去に良い印象がない人に対して、再会した時に不利になることはあっても、有利になることは滅多にないでしょう。
③ 後輩にしわ寄せがくる可能性
採用側も同じ人間です。「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い。」といった感情を抱かれるのは当然のことです。
企業によっては、翌年はその大学の学生はとらないといった行動にでる可能性もあります。
3.内定辞退時のトラブルを防止する2つのポイント
先程あげた危険を防止するには法律に沿って常識的な行動をとること、そして相手に失礼にならないように細心の注意を払わなくてはなりません。
では、具体的にどのような点に気を付ければよいのでしょうか?
3-1.内定辞退の連絡は1日でも早く。最悪でも入社日の2週間前までに!
当然のことですが、先方の都合もあるので内定辞退の申し入れは早ければ早いほど良いです。
承諾書の提出前、内定式前という機会もありますが、最悪の場合でも法律により労働契約の解除が認められている入社日の2週間前には先方に内定辞退の意思を伝えましょう。
3-2.内定辞退の連絡は電話がベスト!電話連絡の6つのステップ
メールや手紙といった連絡手段もありますが、電話が最善の方法です。
どんな手段であっても内定辞退を伝える時は、失礼の無いよう細心の注意を払わなくてはなりません。
内定辞退の電話連絡のステップは以下の通りです。
1. 自分の名前をつげる |
2. 採用担当者を呼び出してもらう |
3. 内定や面接のお礼の言葉を伝える |
4. 断りの理由を述べる |
5. 相手の反応を見る |
6. 最後にもお詫びの言葉を忘れない |
では、順番に流れをイメージしてみましょう。
1. 自分の名前をつげる
「○月△日に面接をしていただいた◇◇大学の××××と申します。」
しっかりと自分の名前をフルネームで名乗りましょう。
2. 採用担当者を呼び出してもらう
「恐れ入りますが、××課(採用担当部署)の○○様はいらっしゃいますでしょうか?」
本人につながった場合→改めて名乗った上「今、お時間よろしいでしょうか?」
→YES ステップ③へ
→NO 「何時ごろでしたらご都合がよろしいでしょうか?」(その時間帯にかけなおします)
不在時 → 「○○様は何時ごろお戻りでしょうか?」(その時間帯にかけなおします)
※注意※
ここでの注意点は、本人の都合が悪い場合や不在時の場合に「こちらから折り返します」と言われる場合がありますが、あなた主体の用件であるので「こちらからまたかけ直します」と断ります。
3. 内定や面接のお礼の言葉を伝える
「先日はお時間をいただきありがとうございました。」
「内定をいただきまして、ありがとうございました。」
相手があなたの為に時間を割いてくれたことへの感謝の気持ちを示します。
4. 断りの理由を述べる
「誠に申し訳ありませんが、他社にお世話になることになりました」
理由はある程度、正直でも構いません。
・家族の理解を得ることができなかった
・学業を続けることにした など
理由を述べた後に、「今回は誠に申し訳ありませんが、辞退させていただきたくご連絡をいたしました。」とはっきりと内定辞退の意思を伝えましょう。
5. 相手の反応を見る
「そうですか。」とあっさり納得してくれる会社。「何か不満がありましたか?」と踏みとどまらせようとしてくる会社。
様々な反応が予想できます。いかなる場合でも「こちらの都合で大変申し訳ありません。」と終始申し訳ないという意識を持って丁重に謝りましょう。
6. 最後にもお詫びの言葉を忘れない
「せっかくのご厚意にお答えできずに申し訳ありません。」など、相手へのお詫びの気持ちを最後まで忘れずに「お時間を頂戴いたしましてありがとうございました。失礼いたします。」と電話を切ります。
※注意※
携帯の場合は終話ボタンですが、固定電話などの受話器による終話の場合、先に指で電話を切りそのあとに受話器を置くようにしましょう。受話器で終話すると「ガチャン! 」と相手に不快な音を与えてしまいます。
これは内定辞退に限らず、大切な電話のマナーです。
まとめ
就職は人生の中で大切なライフイベントです。
内定辞退はあなたが悩みに悩んで出した結論ですよね。
丁重な姿勢で内定辞退の意思を伝え時、きっと辞退された企業もあなたの気持ちを理解してくれるはずです。自分の決断を信じて、前に進みましょう。
・ 内定辞退した場合損害賠償は発生しない
・ 常識を逸脱している場合は、内定辞退時に損害賠償請求をされることがある
・ 内定辞退は1日も早く!最悪入社日の2週間前までに行う
・ 内定辞退の連絡は終始お詫びの気持ちと言葉を忘れない