会社から解雇と言われたとき、あなたの気持ちは不安や不満でいっぱいですよね。
明日からの生活どうしようか、解雇に納得できないとかたくさんの感情があなたにめぐっていますよね。
日本において解雇は法律で、かなり厳しく制限されているのをご存知ですか?
もしかすると、あなたの解雇は不当解雇かもしれません。
しかしながら、相談先がたくさんあるので調べれば調べるほど、どこに相談すればよいのか悩んでいる方もいるのではないのでしょうか?
相談先の選択肢を誤った場合、あなたが要望する解決方法とまったく正反対の結果を生む場合もあります。
ここでは解雇された時の相談機関や解決方法の流れを説明します。ぜひ、勇気をだして相談してみてください。
1.解雇と言われたあなたがまずすべきこと
まず、真っ先にすることは解雇通知書と解雇理由証明書を会社に発行してもらう事です。
解雇通知書をもらう理由として、あなたの退社が自分の意志ではなく会社側の意思であることを証明してもらうためです。それは、今後不当解雇で争う場合に会社側の「退職の理由は本人の意思である。」という意見を封じるためです。
また、解雇理由証明書により、あなたがなぜ解雇になったのか会社側の理由を確認します。あなたの能力等を理由とした普通解雇であるのか、就業規則違反などによる懲戒解雇であるのか、また会社の業績不審により整理解雇なのか。この2つに加えて、就業規則を手に入れておくとよいでしょう。
2.お前は今日でクビ!も不当解雇!?
労働基準法20条により「使用者は、労働者を解雇しようとする場合において、少なくとも三十日前にその予告をするか、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない」と解雇予告について触れています。
つまり、特殊な解雇を除き、解雇する側は解雇するものに対して事前に予告するか、その分の金銭を払いなさいと法律で定められているのです。ですから、この解雇の正当な手順を踏んでいないものについては不当解雇となります。
しかしながら、解雇予告手当の支払いの不要なケースもありますので注意しましょう。
1. 天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合
2.労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合(いわゆる懲戒解雇)
また、下記に当てはまる人も解雇予告が不要なケースに当てはまります。
※ 1ヶ月を超えて引き続き働いている場合は除く
② 労働期間が2ヶ月以内と期間が定められている期間労働者
※ 2ヶ月の期間を超えて引き続き働いている場合は除く
③ 季節的な労働者など4ヶ月以内の期間労働者
※ 季節労働者であっても4ヶ月を超えて引き続き働いている場合は除く
④ 試用期間中の人
※ 14日を超えて勤務している場合は除く
3.不当解雇の相談先の選択肢
あなたの解雇に少しでも疑問をもったら、各専門機関に相談に行ってみましょう。
3-1.各相談機関のメリット・デメリット
相談先 | 弁護士 | 社会保険労務士 | ユニオン | 総合労働相談コーナー |
---|---|---|---|---|
相談料金 | 法テラスでの初期相談は基本的に無料 個別に選定した場合は有料の場合が多い |
総合労働相談所では無料 個別に選定した場合は各社会保険労務士による |
各ユニオンによる | 無料 |
主な解決方法 | 代理交渉 労働審判 訴訟 |
労働委員会によるあっせん | 団体交渉 | 労働紛争調整委員会によるあっせん |
メリット | 弁護士は代理人になれるので、弁護士に依頼するだけで解決する | あっせんの代理人になれる | 団体交渉権を行使し、会社と交渉することができる | 費用がかからない |
デメリット | 解決までに費用や期間がかかる | 弁護士と比較して、できることに制限がある 都道府県によって、異なる |
団体によって、力量やかかる費用に差があるので吟味する必要がある | 個人で交渉しなくてはならない |
上記に記載した主な解決方法ですが、あっせんや団体交渉などがまとまらなかった場合は訴訟に移行する場合もあります。
この中でどれにしようか迷った場合は、幅広く対応してもらえる弁護士に相談するのが良いでしょう。
3-2.あっせんってなに?
労働者と使用者が意見が対立した時に話し合いにより解決をする制度です。
しかしながら、あっせんを利用するには双方が利用するという合意が必要です。
また、あっせんとは双方の意見を調整して解決するものなので、多額金銭の要求は望めません。
3-3.あっせんの申立てはどこでするの?
あっせんの申立ては勤務先を管轄する都道府県労働局や最寄りの労働相談コーナー(労働局内)、または各労働委員会でも同じ制度を実施していることがあります。
3-4.労働紛争調整委員会(労働局)と労働委員会(社会保険労務士)のあっせんの違い
基本的な流れについて、両者は同じです。
大きな違いは、労働紛争調整委員会のあっせんは申立ての書類の作成から解決まであなたがすべて行うのに対して、労働委員会のあっせんは社会保険労務士が申立ての書類の作成や代理人となってくれます。
4.不当解雇で争点となる2つの選択肢
解雇が無効(いわゆる不当解雇)で争う場合、あなたには次のような2つの選択肢が生まれます。
2. 会社に復帰できない場合は※一定の金額の支払いを求める
( ※ 労働基準法第20条に定められている解雇予告手当とは別のものです )
4-1.解雇を撤回させ、会社に復帰する
まず、解雇が無効と判断された人が職場に復帰した割合はおおよそで35%程度と言われています。
解雇が無効とされたにも関わらず、職場に復帰しない理由の大半はやはり一度もめた職場には戻りづらいという事があげられます。
円満に復職できる場合もあげられますが、それ以外の場合は金銭による解決という手段が多く取られます。
ちなみに、解雇は無効という判断が下り、職場に復職した場合でも、判決がでるまでにかかった期間分の給料分は会社に請求することができます。
4-2.会社に復帰できない場合は※一定の金額の支払いを求める
ここでいう一定の金額というのは前述している通り、労働基準法第20条に定められている解雇予告手当とは別のものです。では、この一定の金額の相場とはいったいいくらぐらいなのでしょうか?
先に申し上げると、現在明確な基準は設けられていません。現在の相場の平均的な金額だと、退職金や係争期間中の給料を除くと
・ 判決が出た案件は、給料のおよそ平均8.11か月分
・ 和解で終わった案件は、給料のおよそ平均2.8か月分
が解決金として支払われているようです。和解と判決では、金額に差が出ています。
解雇無効で争った人たちの大半はこちらの金銭解決という方法を選んでいます。
そういった背景を踏まえ、政府はこの解決金に明確な基準を設けようと解決金制度を検討しています。
しかしながら、実現はまだまだ先になりそうです。
5.どうする?裁判中のお金の生活費
不当解雇で会社と争いたい気持ちもあるけれど、その期間の生活費をどうしようかと悩む方も多いでしょう。
また、弁護士費用などもかかります。このお金の問題が一番の大きい障害であるのは、まぎれもない事実です。
5-1.厳禁!裁判中の再就職
まず、不当解雇について争うときに、一番やってはいけないことは正社員として別の企業に再就職することです。
なぜならば、再就職により元の職場に戻る気もなくなったとみなされる上、再就職先での収入があるので裁判中の未払い賃金を支払わなくてもよいとされ、解雇無効の訴えの意味がなくなってしまうからです。
それでは、裁判中は無収入で暮らさなくてはならないのでしょうか?
答えはNOです。元の職場の収入まではいかなくとも、いくつか収入を得られる方法があります。
5-2.裁判中に収入はハローワークへ!
裁判の訴状の写しと離職票をもってハローワークへ行きましょう。
ハローワークで雇用保険の仮受給を受けることができます。この場合に給付される金額は収入の60%程度 だと考えておいてください。
5-3.雇用保険の受給資格がない場合
本来、1人でも社員を雇っている会社であるのならば社会保険(健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険)に加入する義務があります。
しかしながら、中小・零細企業においては未加入の会社がたくさんあるのが現状です。こういった場合はアルバイトで食いつなぐという手段があります。ここで、気を付けなくてはならないのはアルバイトの収入は元の収入の60%以下 におさえておくという点です。
その理由は、元の収入とほぼ同等または上回ったりした場合、復職する意味がなくなってしまうと捉えられてしまうからです。
5-4.弁護士費用は法テラスで借りることができる
法テラスには弁護士報酬や司法書士報酬などを支払う余裕がない場合、その費用を立て替えるという制度があります。
ただ、この制度を利用するには所定の要件を満たす必要があるので、まずはお近くの法テラスの無料法律相談を受けることをお勧めします。
5-5.金銭にあまり余力がない人は労働審判
不当解雇された人が、会社に一発パンチをくらわしたい気持ちもわかります。
ですが、家族の生活がかかっていたり、借金の返済に追われて いたり、雇用保険やアルバイトで生活するのが本当に難しい場合は労働審判を選ぶしかありません。裁判と比べ、労働審判は決着する までの期間が短く、およそ3か月程度で決着がつきます。
しかしながら、裁判に比べ労働審判は解決金の金額が少額になる傾向があり ます。
まとめ
不当解雇の際の相談先について書いてみました。あなたの要求に対して、適した相談場所があります。
解雇された場合、だれしもが心中穏やかではありません。
一日も早く安心した生活に戻れるように、各相談窓口に行ってみましょう。
・ 解雇されたときは解雇通知書と解雇理由証明書を真っ先に入手しよう
・ 相談機関に行くときは、解雇通知書と解雇理由証明書など事前準備を忘れずに
・ 請求できる金額が一番大きいのは通常訴訟
・ 裁判中でも雇用保険の給付を受けることができる