労災保険

知らないと損をする 〜労災保険のアフターケア制度〜

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労災のアフターケア制度と聞いてピンとくる方は、少ないのでは無いでしょうか?

アフターケア制度とは、労災による怪我や病気の治療が終了した後、体に重い障害が残った時に、診察や検査などを無料で受けることができる、良い制度です。

あなたは労災によって重い障害が残り、将来に対する不安や悩みを抱えており、身体的にも精神的にも、とても辛い時期かと思います。
そのような悩みは、アフターケア制度を利用することによって解消することができます。

今回は、労災のアフターケア制度を受けるための手続きや、診察の内容などをお伝えします。
実は、制度を受けるための怪我や病気の種類は限られているのですが、あなたがアフターケア制度を受けられるかどうかも、この記事をお読みになれば分かります。ぜひ参考にしてください。

1.アフターケア制度とは、治療が終了した後も労災保険の補償を受けられる制度

アフターケア制度とは労災によって怪我や病気をした人が、その怪我などが治癒(症状固定)をした後、再発や新しい病気の発症を防ぐため、月に1回程度、労災保険指定病院での診察や検査、処置、アドバイスなどを無料で受けることができる制度です。
しかしながら、この制度を受けるためには以下の条件を満たすことが必要となります。

せき髄損傷や精神障害など、労災保険が定める20種類の怪我や病気に当てはまり、
それに加え体の状態が労災保険の比較的重い障害等級に該当すること。

ただし、医師が必要だと判断した場合は、障害等級の重い・軽いに関わらず制度を受けられることがあります。

補足:治癒(症状固定)とは?

労災保険では医師の判断により、治療を続けても改善の見込みがないときも『治った』とされます。
このことを治癒(症状固定)と言います

具体的な例

労災により指を切断してしまい治療をすることになった。
必要な治療や処置は行い、症状も落ち着いた為、医師より「治療はここまでにしましょう」と言われた。
当然、指は新しく生えてくるものではなく、これ以上の治療ができないため、症状固定と診断された。

制度の対象となる20種類の怪我や病気

アフターケア制度の対象となる怪我や病気は以下の通りです。

アフターケア01
上記の怪我や病気のいずれかに当てはまる方は、アフターケアを受けられる可能性があるので、労働局や会社の労災担当者、主治医に相談をすると良いでしょう。

アフターケアは労災保険指定の病院で受診する

アフターケアが利用できるのは労災保険指定の病院に限ります。
また、診察などは無料で受けることができます。
一般的には治療をしていた病院で受診をすることが多いようです。

※労災保険指定医療機関検索

2.アフターケアを受けるための手続き

まずは労働局に健康管理手帳の交付を申請する

アフターケア制度を受けるためには、労働局に健康管理手帳の交付を申請する必要があります。
申請は本人でも可能ですし、会社に労災申請の協力をしてもらっている時は、担当の人に相談しましょう。

申請から健康管理手帳交付までの流れ

アフターケア02

申請をしてから交付されるまでの期間は、おおむね1ヶ月です。
また、対象となる怪我や病気に当てはまり、障害等級も認定されている状態で申請をすれば、ほぼ交付はされるようです。
ただし、体の状態や医師の判断内容によっては審査に時間がかかることもあるようです。

申請書類は厚生労働省のHPからも入手でき、記入例も掲載されています。
これから申請をする方は、ぜひご参考にしてください。

申請と利用には期限があるため注意が必要

健康管理手帳の交付申請は怪我や病気の種類によって、定められた期間内に行う必要があります。
ただし、せき髄損傷など一部、期間に定めがなく、いつでも申請できるものもあります。
また、手帳には怪我や病気の種類によって有効期間が定められています。

注意点は以下の4つです。

・ 有効期間の1ヶ月前までに更新の手続きが必要です。
・ 更新の際は医師に診断書を記入してもらい、労働局が更新をするべきかどうかの判断をします。
・ 怪我や病気の種類によっては更新ができないものや、診断書が不要なものがあります。
・ 初めて手帳の交付を受けた時と更新後では、有効期限が変わります。

既に手帳をお持ちの方は、ご自身の手帳が更新可能かどうか、また有効期間がどの程度あるのかを把握し、計画的に制度を利用すると良いでしょう。

※参考 健康管理手帳の有効期限等について

アフターケア03

申請期間のイメージ

アフターケア04

上記図の通り、申請期限を超えた後の申請はできないので、期間には十分ご注意ください。
また、医師から「これ以上の治療は必要ない」「これ以上、改善はしない」、つまり治癒(症状固定)と診断をされた時の翌日から申請が可能ですので、速やかに申請を進めると良いでしょう。

健康管理手帳更新の流れ

アフターケア05

3.どの様な診察が受けられるのか

ここではアフターケア制度で実際にどの様な診察を受けられるのか、精神障害を例に紹介します。

なぜアフターケアが必要なのか
症状固定をした後に、症状が悪化することを予防するため
対象となる人
仕事が原因で精神障害になり、以下4つの後遺症状のいずれかが残っている人
 1.気分の障害(抑うつ・不安など)
 2.意欲の障害(無気力など)
 3.慢性化した幻覚性・妄想性の障害
 4.記憶・知的能力の障害
診察内容
 1.原則として1ヶ月に1回程度の診察
 2.診察の都度、必要に応じて専門医によるカウンセリングなど
 3.精神薬などの支給
 4.1年に2回程度、心理検査・脳波検査やMRI検査などの実施

精神障害を例に一部を紹介しましたが、怪我や病気の状態によって行われる診察は様々です。
厚生労働省のHPで怪我や病気の種類ごとに詳細を見ることができます。

アフターケアの通院費も支給されることがある

以下の条件のいずれかに当てはまる時は、通院に掛かった費用が支給されます。
申請には申請書類及び、領収書など通院費の金額を証明する書類が必要です。

1.自宅または職場から電車・バス・車などを利用して片道2km以上、4km以内にある病院へ通院したとき。
2.片道2km未満であっても怪我や病気の状態から電車・バス・車などを利用しなければ通院できないとき。
3.自宅または職場から4km以内にアフターケアを受けられる病院が無く、4kmを超える病院へ通院するとき。

まとめ

ここでお伝えした通り、労災保険では後遺症が残った場合や、重い病気になった時でも思いがけず治療が終了してしまうことがあります。
しかしながら、そのような時でもアフターケア制度を利用できる可能性はあります。
ここで紹介した怪我や病気にあてはまる方は、申請しても損をすることは無いので、速やかに申請を進めましょう。

怪我や病気でお悩みの方がこの記事をご参考に、抱えている悩みを解消して頂けると幸いです。

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