損害賠償

採用担当が就活でセクハラの加害者に!?会社が被るリスクと解決策

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

昨今、就活中の学生が企業の採用担当者からセクハラを受けた、というニュースが様々なメディアで取り上げられています。

実際に日本で名の知れた大手ゼネコン、大手商社の採用担当が行ったセクハラは刑事事件まで発展したため、企業のイメージダウン、社会的な制裁を被ることは間違いありません。

就職希望者と企業の力関係を考えると、どうしても企業側が力を持ってしまい、その力を私利私欲のために使ってしまった、ということが浮き彫りになっています。

会社のあずかり知らないところで採用担当がセクハラを日常的に行っており、芋づる式に被害者から訴えが…ということがあったとすると、あなたの会社ではどの様に対応ができますか?

この記事では保険を使ってその様なトラブルから会社を守る方法を解説していきますので、人事や採用担当でお悩みの方はぜひお読みください。

1.2人に1人が就活セクハラ被害に遭っており、多くの就活生が苦しんでいる

Business Insider Japanが実施した約300名を対象とした就活セクハラ緊急アンケートの結果によると、実に約5割が就活中にセクハラ被害に遭ったと回答しているのです。

被害にあったときの状況で最も多いのがOB訪問となっており、その背景として考えられるのはOB訪問のマッチングサイトなどのWEBサービスやSNSの発展です。利便性の面では気軽に利用ができるというメリットが目立ちますが、アンケート結果から諸刃の剣であることがおわかりかと思います。

ここで実際にOB訪問がきっかけで刑事事件まで事が大きくなった事例を紹介します。

【OB訪問の女子大生にわいせつ容疑 大林組の社員逮捕】

2019年2月21日 朝日新聞デジタルより引用

就職活動でOB訪問に来た女子大学生にわいせつな行為をしたとして、警視庁は、ゼネコン大手の大林組(東京都港区)の男性社員(27)を強制わいせつの疑いで18日に逮捕した。三田署への取材でわかった。容疑を一部否認しているという。

署によると、社員は1月27日、OB訪問のため会いに来た女子大学生に、自宅マンションでわいせつな行為をした疑いがある。社会人と学生をつなぐ「VISITS OB」というアプリを通じて女子大学生と知り合い、この日に本社近くの喫茶店で初めて会い、「パソコンを見ながら仕事の説明をした方がいい。面接の指導をする」などと言って連れ込んだという。女子大学生が警視庁に相談し、被害が発覚した。

 大林組は取材に対し、「誠に遺憾。事実が明らかになれば適切に対応していく」としている。

いかがでしょうか?この様な事件が明るみに出てしまえば、企業のイメージダウンは避けられないですよね。
またアンケート結果から、具体的なセクハラの内容として、

▲パートナーの有無を聞かれた

▲胸を触る・キスをされるなどの身体的な接触を受けた

▲性交を強要された

と思わず目を覆いたくなるような内容となっています。そして、被害に遭った大多数がその企業の選考や内定を辞退しているのです。

夢や希望を抱いて就職活動に励む人を目がけた卑劣で許されざる行為であることは言うまでもありません。これだけ多くの人がセクハラ被害を経験しているということは、あなたの会社が行っている採用活動でも同じようなことが起きる可能性は大いにあります。

2.被害者の多くが誰にも相談できないため、採用活動の現場がセクハラの温床となる

なぜ採用活動の場でセクハラが多く発生しているのか?という背景には『被害者が相談できない』という現状があるからだと考えられます。

そして『相談できない』という裏側には企業と就職希望者とのパワーバランスが隠れているのです。

『セクハラをされているが誰かに相談したことが原因で内定を取り消されたらどうしよう…』

『わたしがきっかけで大学の評判が悪くなって後輩にまで迷惑をかけないか…うちの大学からは誰も採用されなくなるのでは』

といったように単に『相談できない』のではなく『したくても相談できない』という表現が正しいのかもしれません。
そして誰にも相談できず、我慢の限界に達した被害者が繰り出す究極の一手は【法に訴える】ことです。

ここで実際に起きた判例を1つ紹介します。

【採用の見返りに男女関係を迫られた 元就活生がアイシンAWを提訴】

2016年4月5日 HUFFPOSTより引用

トヨタ系部品メーカー大手のアイシン・エィ・ダブリュ(アイシンAW)で就活中、当時幹部だった男性(43)から採用の見返りとして不適切な関係を迫られたなどとして、愛知県内の20代女性が同社と男性に計550万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こした。毎日新聞によると、提訴は3月25日付。

 アイシンAWは愛知県安城市に本社があり、オートマチック用の自動変速機で世界シェア第1位だ。2015年3月期の連結売上高は1兆1272億円に上る。問題となった男性は当時、製造本部副本部長で、トヨタグループ創始者の豊田佐吉の兄弟の孫に当たり、問題発覚後に社内処分を受け、既に退職しているという。

女性は2015年7月、アルバイト先で客を通じて男性を紹介された。筆記試験に合格すると男性から「僕の一言で受からせた。アイシンに入れる見返りに男女の関係になる人がほしい」などと迫られたとしている。女性は、要求を断り続けたために最終面接で不合格にされた。「男性はトヨタの創業者一族の一人であることを利用し、男女関係を迫った。会社は男性の指示を受けて不採用とした」と訴状で主張している。

アイシンAW広報部は「訴状が届いておらずお答えできない」と、産経WESTにコメントしている。

あなたの会社はこの様な訴えに耐えられる防御策を持っていますでしょうか?
実は保険に加入しておくことで採用担当者(従業員)が加害者として起こしてしまったトラブルに対応できるのです。

ここからは実際にどのような保険が有効なのか解説をしていきます。

3.会社や採用担当個人が訴えられたときに備え、雇用管理の賠償責任保険に加入する

就活生からの訴えが来た時に会社を守るためには、雇用管理系の賠償責任保険が有効です。

昨今加入する企業も大変多い、セクハラ・パワハラなどの雇用トラブルに対応する保険であり、

【社内で上司からのセクハラが原因で従業員が会社訴えられた】 ときに使えるイメージをお持ちかもしれませんが、
【従業員が加害者になってしまい社外の第三者から訴えられたとき】 にも効力を発揮できるのです。

下記の様な流れで損害賠償請求がきてしまったときに掛かる賠償金や、弁護士費用を保険で補填できます。

ここまで解説をしてきたように、採用活動の現場がセクハラの温床となっている現代において、この保険への加入は欠かせないと考えられます。

【個人まで補償される保険を選ぶ必要がある】

就活中のセクハラを原因とした訴えでは、会社や役員はもとより、面接官・採用担当などの【一個人】が名指しで訴えられることがあります。

ですから、この保険では【役職のない個人】がしっかりと補償されるものでなければ意味がありません。
保険会社によって補償される範囲は様々ですので、個人が補償されるかどうか、しっかりと確認をして加入を進めましょう。

【損害賠償や労務トラブルが得意な保険会社・代理店を選ぶことが大切】

セクハラなどの労務関係に対応する保険は、多くの保険会社から販売されておりますが、それぞれ特色や、得意とする分野は異なります。
補償内容が大きく変わる、というわけではありませんが、実際に保険を使うときの対応力は差がでる点のひとつと言えます。

例えば、労務に強い弁護士と提携している、事故が起きた際のアドバイスを的確に、親身になって行ってくれる、など本当に困ったときに頼れる存在とタッグを組むことが大切です。

まとめ

ここでは、会社がセクハラで訴えられた時のリスクヘッジの手段の一つとして、保険加入の有効性をお伝えしました。
ですが、何よりもその様な事態を起こさないための社内コンプライアンスの徹底が重要です。

企業の財産になり得る人材を確保するための採用活動が、卑劣なセクハラによって台無しになってしまう、このような不要なトラブルは会社としては間違いなく避けるべきです。

記事のなかで解説をしたように、就活の現場においては力関係が分かりやすく表れてしまうため、当事者は『自分は力を持っている』とある種の勘違いに近い感情が生まれてしまうのかもしれません。

会社のあずかり知らぬところでトラブルの火種が大きくなり、突然訴えられるというときにしっかりと会社を守る術を用意しておくことが必要です。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

「カイシャのホケン」執筆陣への”法人向け損保”のご相談を受け付けております。

弊社では損害保険のプロとして、年間500件以上のお客様の事故対応を処理している実績があります。
事故対応の豊富な経験を元に業種や売上、従業員数を踏まえて最適な保険の提案を行ってまいりますので、ご相談、お見積、保険の見直し等、お気軽にご連絡くださいませ。

お電話でのお問い合わせ・ご相談はこちら

お気軽にお問い合わせください

お気軽にお電話ください

お電話でのお問い合わせ・ご相談はこちら

無料相談・お問い合わせはこちら

SNSでもご購読できます。

SNSで最新情報をチェック

コメントを残す

*