法人で自社ビルや自社工場などを所有している会社は、その建物や設備什器に地震保険が加入できることをご存知ですか?
また、テナント企業でも地震によるスプリンクラーの水濡れ損害があった場合に地震保険に加入していないと補償されないのはご存知ですか?
企業向け地震保険は、地震や噴火などの災害があった際に建物、設備什器の補償をします。
実際に大地震が発生の発生後、事業は滞り経営は困難になってしまい厳しい状況に陥る会社は数多くあります。
大地震が起きたときに地震保険に加入していれば、支払われた保険金を事業継続費用として資金を使うこともできるのです。
その建物や工場物件、またはテナント自体に火災保険はご加入されていると思いますが、その火災保険にある一定条件を満たすと地震保険を特約として付帯することができます。
保険会社によって、地震拡張担保特約や地震・噴火危険補償特約などと呼ばれています。
今回は、企業こそ地震保険がなぜ必要なのかを説明します。ぜひ、最後まで読んでください。
1.企業向け地震保険とは
1-1.居住用の地震保険とは全く別のもの
一般的に地震保険とは、家計地震保険と言うもので、居住用の物件で契約できる保険となり、政府(国)と損害保険会社で成り立っています。
しかし、事業用の物件は居住用ではありませんので、一般的な地震保険には加入することができせん。
法人の企業向け地震保険は、地震拡張担保特約地震や噴火危険補償特約などと呼ばれるものが、各損害保険会社から用意されており、この地震・噴火・津波などを補償する保険に特約として加入することになります。
また企業向け地震保険は、政府と国で成り立っておらず、各損保だけで補償する保険です。
1-2.地震・噴火・津波による被害を補償
地震保険は、事業用の自社ビルや自社工場、設備・什器等を対象とし、地震または噴火による火災、損壊、埋没、破裂、爆発、津波、洪水などの水災を補償します。
建物の定義
建物とは、土地に定着し屋根、柱、壁があるものとされております。
設備・什器の定義
建物内にある設備、装置、機械、器具、工具、什器、備品をいいます。
例として、自社ビルであれば、デスク、椅子、パソコン、電化製品などの設備や備品など、自社工場であれば、上記同様と製造機械・装置、器具、工具などが設備・什器に当てはまります。
2.企業向けの地震保険が必要な2つの理由
2-1.地震発生の確率が高くなっている
まだ記憶に新しい2011年の3月の東日本大震災や、2016年4月に発生した熊本地震と日本は世界から見ても地震は多発しており、地震リスクに対しては避けてはならないものとなっております。
世界で発生するマグニチュード6以上の地震の20%日本で発生していると内閣府の報告もあります。
自宅の地震保険は、加入しているのに、自社ビルや自社工場に地震保険が未加入では、不安ですよね。
ここで、J-SHIS地震ハザードステーションを確認してみましょう。
このサイトは全国の地震動予測地図を発表しており、今後30年以内に各地点が震度6以上の地震が起こる確率を地図として示したものがあります。
自社ビル・自社工場の住所を入力して頂くと地震発生の確率がわかりますので、是非参考にして見てください。
日本全国のどこでも大地震が発生する危険性が理解できるでしょう。
2-2.地震の被害損失を自社で補填するのが難しい
あなたの会社の地域で地震災害が起こることによって想定できることは、建物が倒壊や損壊、設備什器の破損、地震により火災が発生して建物や機械設備が焼損、地震によりスプリンクラーの破損や誤作動による水濡れ損害などになります。
損害額によって異なりますが、最悪を想定したら、この大きな損害を自己資金だけで復旧することができるでしょうか?
資金力のある企業でなければ、建物、設備什器の復旧ができないことでしょう。
そのために企業向け地震保険は地震大国日本において必要不可欠な保険だと考えられます。
企業向け地震保険で支払われた保険金の使い方は自由
建物や設備什器の損害があり、支払われた保険金を復旧に使うのか、当面の運転資金などに使うのかは自由です。ここおいては、各企業によって決めることができます。
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従業員を大切にしている会社であれば、社員を解雇せずに給料を支払っていきながら復興ができる。
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建物が損壊してしまい、一刻も早く建物の復旧をして仕事を再開することもできる。
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機械設備の損壊であれば、早く復旧しなければ損失が拡大してしまうので早期復旧ができる。
保険金の支払いで資金調達ができ、各企業の判断で事業継続費用として有効活用ができます。
またリスク管理が徹底している企業だと取引先からも評価を頂けることでしょう。
3.企業向け地震保険の保険金の支払い方法は2通り
地震拡張担保特約や噴火危険補償特約の保険金の支払い方法は2通りあります。
3-1.縮小支払方式
地震により被った損害額から免責金額(控除額)を引いた金額に、契約時に設定した縮小割合を乗じた額を保険金額として支払う方式
3-2.支払限度額方式
契約時に設定した支払限度額まで、損害額から免責金額(控除額)を差引いた額を保険金として支払う方式
4.企業向け地震保険に加入するときの注意点
4-1.引受基準は各損害保険会社によって異なる
企業向け地震保険は、各損保で用意している保険になるので、引き受けに対して各損害保険会社によって契約条件が全く異なります。そのため契約の情報が出てないので、どのような引き受けの違いがあるのかいくつか見てみましょう。
○ 建物の構造によって異なる 例)建築構造が1級、2級のみ引受など
○ 建物の建築年によって異なる 例)昭和56年以降の建物が対象など
○ 都道府県によって補償限度額、補償範囲が異なる
○ 支払い条件や免責金額(控除額)が異なる
○ 震災のあった地域での引き受けを一時的に見合せる年月が異なる
保険会社によって、木造の建物でも地震保険に加入することも可能で、建物、設備・什器の他に、商品まで事業用の地震保険として加入することもできます。
5-2.各損害保険会社からの見積もりを取り寄せる
先述したように一般的にいう地震保険については、政府(国)と損害保険会社で成り立っていますが、企業向け地震保険は、各損害保険会社だけの料率によって、保険料が決められています。
よって、保険料は各社異なりますので、同じ補償内容でも保険料が全く違うこともあります。
同じ補償内容ならば、保険料が安い保険会社を選び経費削減しましょう。
このように各損保での引受け条件が全く異なる保険商品になります。
企業向け地震保険の申請をして一社で断られても、他社でも必ず断られるとは限りません。
すぐにあきらめてしまわず、複数社に依頼をかけてみましょう。
まとめ
企業向け地震保険について記事を書きました。
地震による損害は、火災や破損だけではありません。
例えば、地震によるスプリンクラーによる水濡れ損害も含まれます。このような事故も事業用の地震保険でなければ、補償されません。
地震保険に加入していれば、大震災が発生し経営困難になった場合でも、保険金が支払われることによって当面の運転資金の調達ができ、従業員を解雇せずに給料を支払いながらの経営もできることでしょう。
まだ企業向け地震保険を加入していないのであれば、是非この機会に検討してみて下さい。